1日10回の素振りでバッティングの質を変える方法とは?
皆さんのチームでは平日の練習でどれくらい素振りをしていますか?気合の入っている親子だと自宅での素振りも行っているなんて方もいらっしゃるかと思います。ただ、バッティングの素振りって何とも味気ないというか同じことを繰り返すだけで子供たちにはかなり退屈でしんどい練習ですよね。しかし、素振りは上手くなるためには避けて通れない基本の練習です。
バッティングフォームを固める効果もありますし、投手の投球フォームを想定してタイミングを練習したりとイメージトレーニングなどにも役立つと言われていますね。
量より質とはいうけれど…
とはいっても、何百回とバットを振り込むことは身体的にも精神的にもナンセンスでしょうから自ずと量より質が求められるはずです。私がよく言われていたのは「何も考えず100回振るより、コース別に10回振った方が良い練習になる」でした。
今でこそ野球センスを研究していますが、この練習法を当時は何の疑問も持たずに黙々と行っていましたね…。いま冷静に考えるとちょっともったいなかったと…w このやり方では、残念がら大して技術的にもセンス的にも質を高める事が出来ません。
野球はフィードフォワードとの戦い
少年野球のお父さん方にぜひ知ってもらいたいキーワードがあります。それは「フィードフォワード」というものです。『相手がこうきたらこう動いてやろう』って感じで、予め相手の動きを予測して動作パターンを決めることです。
野球という競技は騙し合いのスポーツだと、あるプロ野球選手が言っていましたがまさにその通りで、いかに相手の裏をかくかというのが重要になってきます。つまり予想とは違う動きをすればするほど勝負は有利に働くという事。少年野球で代表的なのはスローボールですね。小学生の試合をみていると、たまに緩急を上手に使えるバッテリーがいますが、こういう投手が相手だと面白いように打てない場合がほとんどでしょう。
素振りは従来の目的を変えてしまえば良い
私は、このフィードフォワードを打開していく能力、言い換えれば予測を裏切られても適切に対処できる能力を徹底的に鍛えることを小学生にお勧めしています。従来の素振りといえば冒頭で紹介したようなやり方や、ひょっとすると未だ『何百回と振り込まなきゃダメ』だという根性論のやり方があるかもしれません。
しかし、相手の次の動作を予測しての練習、たとえばタイミングを想定して、コースを予測して、動作をパターン化してバットを振り込んでいると、試合中で、もしそれらとは全く違うことが起こった場合どうなるか?とうぜん一歩目が遅れることは言うまでもありません。判断力を高めるために練習していたのが、逆にフィードフォワードから抜け出せなくなっていたなんてことも十分考えられるんですよ。
ですから、練習の目的を変えるんです。確かにフォームを固めたりコース打ちやタイミングも素振りには必要でしょう。ですが、ある程度基礎が出来てきた選手には「不測の事態でいかにバットを自在に扱えるか」という部分をトレーニングさせるべきです。
1日10回バットの重みを感じるだけで質が変わる
やり方は簡単。バットの重心を身体で感じながら柔らかくスイングしていく。それを無意識になるまで覚えこませるだけです。
これを毎日行ってください。それだけでもバッティングは変わってくるでしょう。バットの重みというのがわかってしまえば「こう動かすと無理があるな」というのが体が無意識で感じ取り自然と良いスイングに近づいてきますからね。
予測しての素振りで練習して試合でフリーズするよりも、予測は裏切られるものと初めから割り切って、不測の事態でいかにバットが自在に動くかという練習を行ってきたとではものすごく差が出てきますからね。こういう部分は目に見えないですから見過ごしてしまいがちですが、大切な部分でもありますので絶対に知っておきたいところです。