中学3年生が高校までに行っておきたい練習とは?
本格的にシーズンオフへ入るこの時期は選手にとって大切な時期。練習の質さえコントロールできれば、たとえチーム全体として実戦系の練習を行う回数が減ってもバッティングをレベルアップすることができます。そして自主トレで集中的にセンスを鍛えれば、春先に好スタートを切ることもできます。定番の走り込みや筋トレなどの基礎体力強化だけじゃなくて「相手のボールを打つ」という本質力の低下を危惧すると、やっぱりシーズンオフ中のセンストレが必要です。
この本質力の話に繋がってくるのですが、私は毎年この時期が来ると思い出す事があります。それは中学三年時の練習内容。高校で野球をやりたいと思っていたのでオフの時期もトレーニングを行っていました。しかし、センストレを考案したいま…野球人生で後悔していることTOP3に入ってしまうほど、非効率的なことをして随分と遠回りしていたなと…。もちろんそれらの努力は現在こういった形になっているわけで、結果的に無駄にはならなかったのですがw 高校で高いパフォーマンスを発揮できなかったのは事実です。
そこで今回は、私がベースボールプレーヤーとしての人生で唯一後悔をしているといっても過言ではない、中三のこの時期のトレーニングについて … もとい高校で通用するためになにをやればいいのかについて“いまの石川だったらセンストレのこれをやっている”という流れをまとめてみました。
『高校までにレベルアップしたいと思っているんだけど、ウエイトトレーニングはまだ早いし、何をやればいいのか』という悩みを持つ中学野球の親子向けです。後悔先に立たず…タイムマシンでもない限り私はもう手遅れですが、いま中学生の選手はぜひ参考にしてみてください。きっと役に立つはずですよ。
高校野球で通用するにはパワーが足りない問題
まず当時の私が思ったのは、中学軟式までの野球環境と私立の強豪高校のそれとでは、比較にならないほど筋力的なパワーが足りないということです。これは考えてみればとうぜんなんですが、今の私から言わせてもらえばじつは問題はそこじゃないんですよ。
高校生になれば身体も成長しますし、筋力トレーニングもチームのノルマとして行うわけですから言い方は悪いですが、普通に部活に参加していればそれなりに筋力はつきます。
必要な要素のみ筋トレすべき
じゃ筋トレは必要ないのかといったらそうでもないんです。
バッティングという運動で、必要になる要素と不必要になる要素というのを考えた時、真っ先に私が思うのが「ブレーキ要素」というキーワードです。限りなく効率良くバットスイングをしようとしたら、このブレーキになっているであろう個所を探して、それ自体を打開しなければパフォーマンスは上がってこないというのが運動の基本的なメカニズムです。
簡単にいってしまえば燃費のいい車ですね。少ない力で大きな力を生み出すにはエネルギーの伝達を妨げている個所を極限まで減らすことが重要になってきます。野球選手はボディービルダーのような筋トレはしてはいけないと言われているのは、いくら1つの1つの筋出力をバカみたいに高めても、それらを上手く道具に、それこそ寸分のロスなく伝えきる事ができるかどうかというのが問題になってくるからです。
つまり、鍛えるべき部分と、鍛えてはいけない部分が存在するという事ですね。当時の私はこれを知らなくて、高校生は体が大きいからとにかく筋トレしなきゃって感じで頑張ってしまったのが失敗でした。
野球は下半身が命!!鍛えるなら股関節周り
で、今の私だったら『筋トレするなら何をするか』なんですが … ズバリ股関節!!
昔から、野球選手はお尻のラインの美しさで試合での動きが優れているかが分かってしまうと言われているのは、体の中でも股関節周辺というのが比較的ブレーキ要素を減らせる個所でもあるからなんです。
いま思うと、もうこの部分をバカみたいに鍛えておけばよかったですよw 絶対に必要です。上半身の筋トレをやるよりも、上辺だけの体幹トレに走るよりも断然こっちがお勧めです。
やり方は冬メソで紹介しているセンストレを行えば十分です。(冬にオススメなセンストレーニングはこちらを参考にしてください。)
どんなにハードワークしても筋肉痛にならないほど鍛えれば運動全体のバランスが良くなりますから、まだ何をやるかハッキリしていない選手はぜひ行ってください。3か月もあればかなり違ってくるはずです。
監督はミートの巧さを評価する
バッティングのパフォーマンスレベルでいえば飛距離よりもミート力を重視すべきでしょう。金属バットと硬球ならタイミングを第一に考えて打席に立っても良いくらいです。筋トレは股関節を周辺を鍛えろとアドバイスしましたが、タイミングを合わせるのに重要になってくる軸足も結局は股関節ですから、やはり徹底して鍛えておきたいですね。
練習では135キロ前後のスピードボールから90キロ程度の遅球に目を慣らすといいですよ。軸足股関節に体軸がスッと乗って自分の間でスイングができるように呼び込む練習を繰り返してください。
硬式用のバットで重心を自分の身体に覚え込ませる
私も当時、硬式用のバットを使って素振りをしていたんですが、これももったいなかったですね。軟式よりも2、300グラムほど重かったので、振り回されないようにと力いっぱい振り込んだのを覚えています。重りをくっつけて振り込んだり、マスコットバットでスイングしていたのも覚えています。
ですが、このサイトや動画でも解説しているように「自中操」でのスイングは中学生には不向きですね。振り回されないように振り回すという発想がナンセンスでした。いまの私だったらミート力を高めるために、バットの重心を身体で覚えてしまって素直にバットが出るように練習していると思います。もちろん素振りは必要ないという意味ではなく、ブンブン振り回すだけの練習ではもったいないという意味です。
唯一、評価できるのが長い竹での素振り
その他にも2メートルくらいの長い竹での素振りも行っていたのですが、これは今の私でもお勧めできる方法ですね。ただ、残念なのが当時の私は、竹と腕のリーチを上手く利用できず、腰の回転でくるっと回るやり方だったと思います。
やっている選手も多いと思いますが、この練習の良いところって圧倒的な振りにくさですよね?
でも、この振りにくさに対して「下半身・腰・腕の3つのパーツ」を同時に動かしてスイングしてしまうとホンッッットーに意味ない練習になりますから注意してくださいw “振りにくいのなら振らない”これポイント!
リーチが邪魔になるなら土台を動かすこと。センストレのベテラン組はもう大体わかりますね。そう肋骨ですw 徹底して意識すればこいつを刺激するためにはもってこいの練習です。練習法自体は良い線行ってたんですが、竹での素振りを行っている本人の意識と身体がね…w 皆さんはもう大丈夫ですね。明日からでもすぐに長い竹で素振りを始めましょう。“振るのではなく肋骨を真後ろに引く”ように行ってください。
インサイドアウトが無意識に出来るようになるまで振り込みですねw
硬式組との差は気にしなくても大丈夫
中学軟式出身だと結構気になるのが硬式組との実力差ですが、この仕事をこれまで行ってきた経験上…『気にすることは無い!』ですね。というのも、技術的な部分というのは高校で同じ練習を行っていると差が埋まってくるんですよ。シニアでセンス抜群で技術も高いという選手は別でしょうが、技術の高さと硬式球に慣れているというだけの選手なら問題ありません。
まとめますと、徹底的にお尻(股関節)を鍛える!!硬式用のバットで重心を感じるように素振りをする!!この2つは絶対に行っておいて損はしませんよ。春先に良いパフォーマンスが出来るようにいまからしっかりと準備しておきたいところです。