打球を上げるスイングには何が必要か?
小学生のバッティング指導で『上からボールを強く叩くようにスイングしなさい』『フライじゃなくゴロを転がせ』といった指導を受けていると中学、高校になった時かなり苦労するのはお気づきだと思います。環境がそうさせるのは仕方ない事ですが、打球を上げる=悪いスイングという事はありませんし、長打というのはゲームの流れを変える力を持っていますから必要不可欠でしょう。
さらに身体資源が乏しい選手に対しての『短く持って上から叩け』を代表するように、「身体が大きい=打球を上げる」「身体が小さい=ゴロを打つ」というのも野球の試合環境で考えた場合、決していい事ではないでしょう。
1番から9番までが基本的な長打を打てる能力を持った選手であり、その上で各々の打撃スタイルや状況に応じて打球をコントロールするというのが理想です。これは、ただただ凡フライを上げるという意味ではなく、【最も効率のいい身体の使い方から生み出されたバットスイング】という面からも、普段から意識的に練習を行うべきことでもあります。
私がよく指導するのはキャッチャー側の肩甲骨と肋骨の使い方です。
ピッチャー側の引き手を指導するのが一般的ですが、打球を上げようを思ったときに捕手側の使い方が悪いとドアスイングになって文字通り大振りになってしまいます。
高校野球の指導ではキャッチャー側の腕は「空手チョップのイメージ」と言われたりしていますが、これはあまり良くないことが起こります。実際に選手に空手チョップを行ってもらうとほとんどの選手が脇で止まってしまい、肘が早期に伸びきってしまう結果、バットを返すのが早い動きを誘発してしまうんです。
ただセンスのあるバッターというのは肩甲骨や鎖骨付近が柔らかいので空手チョップとイメージしてもしっかり投手方向へズルッと入ったりします。ですがそういった身体が無い選手は残念ながら手打ちでしかない、ボールを押し込めないスイングしかできません。
打球を上げるにはこういった部分の身体をセンストレーニングで創り、ボールに押し負けないような身体の使い方を覚えるべきです。そういったうえで筋力トレーニングなどで飛ばす要素を増やしていくという流れが正解ですね。闇雲に筋力強化してもこういった部分が出来ていないと、バットスイングには上手に反映されませんので注意してください。