9番バッターがまさかの柵越えホームラン!?
私がセンス指導をしているある高校の実例をご紹介します。選手はもちろん指導者の皆さんにも非常にためになる例だと思いますので最後までお付き合いください。先月下旬に行われた今期最終ゲームでの話しです。ご紹介したいある選手の打席から遡ること3週間前。その高校へセンス指導でお邪魔した際に監督さんから『この子は体が小さいのですがホームランを打ちたいというんですよ…お願いできますか?』と結構むちゃぶりなお願いをされました(笑)
そして、いざ練習試合当日。
満塁の場面で彼に打席が回ってきました。 相手チームの監督さんは“非力な左バッター”とみるや お決まりの『レフトー!もっと前だよ、まえー』の指示。
緊張がピークに達し、投手がボールをリリースした・・・ 次の瞬間・・・打球は快音を残しぐんぐん伸びてライト方向へ・・・ 95mに設置してある簡易式外野フェンス をなんとオーバー!びっくりなのは彼が9番バッターで私より背が低く痩せ型。 相手チームの監督さんの読み通り、いわゆる“非力な左バッター”なんです。念のためにもう一度確認を、これは作り話ではなく先月起こった実話です。
ホームランが打てる環境を作ることも大切
確かに130キロの硬式球を金属バットで高校生が打ったという点を考えれば あり得ない話では無いと思いますが、実は私がほんとうにびっくりしたのは そこじゃないんです。
体が小さいにもかかわらず 『ホームランを打ちたい』と口に出した彼と、それを認めた監督さんの指導力です。日本の一般的な野球文化や環境を考えれば両者は 中々同時には実現しないですよね。体が小さいというだけで 「バット短く、上から強く叩いて、ゴロを転がして足を生かせ!」が セオリーですからね。
しかし、 彼はまだまだ自分には可能性があると信じて上達の道を追求し、 監督はそれを認めてあげ、常に『やってみなさい』というスタンスをとった。これは本当にびっくりしています。 高校野球でこういった環境ができるのかと・・・全国は広いな、と(笑)
自分で能力のラインを引かないこと。それを素直に認める環境を創ること。 難しいことではありますが、実際に起こっている以上不可能では無いですから この例は非常に参考になりますね。
では、まとめますと「なぜ彼はホームランを打てたのか?」
- まじめで努力家でありすでにホームランを打てる打撃技術があった
- 可能性を求めていた(向上心)
- 環境が良い
- 打球を飛ばすためのセンストレを徹底した
以上です。
とはいっても、皆さんが気になるのは4つめの 石川は一体彼に何を教えたのか?ですよね(笑)同じように悩んでいて彼に行ったセンス指導をすぐにしたいという方は、 野球上達動画ページの「指導者用センストレ」の内容を参考にしてください。実はすべて収録されちゃってます(笑)
この事件で一番びっくりしたのは彼でも監督さんでも無いでしょうね。開いた口が塞がらなかったという表現が正にそれだというほど、 相手チームの監督さんはライト方向をただただポカーンとみていた…と。