キツい練習は正義⁈子供の時にやっておきたいトレーニング方法とは?
メールNo.156 配信日2017/06/27
今回のメルマガはちょっと変わったネタをお届け。
どーでもいい話かもしれませんが、最近の自分の中では熱いテーマです。
センスというよりフィジカル面でのテーマになると思うのですが、対象は小中学生ですかね。
もっと絞ると「センスの塊でやってるような選手」も当てはまると思うので
特に「高校で硬式をやる予定の中学3年生の親子」は参考にしていただければと。
体力は練習すれば付くのは分かりきっているけど、それに耐えられる選手がどれだけいるか。
何人もやらせたが、ほとんどが逃げた。ドラゴンズの内野手は。
最後までやったのが荒木と井端と森野。若い子にやらせても誰一人できなかった。
荒木選手が2000本安打を達成した時の記事で、落合氏が言った言葉のようです。
いつもの私なら根性論は合理的ではないと切り捨てる類のものなんですが「体力は練習すれば付くのはわかりきっているけど」って部分がポイント。
運動強度を管理すると驚くほど伸びる
私は趣味でロードバイクを乗っているんですが、室内でバイクトレーニングをするのが日課です。
ただやみくもに何時間回すというものではなく、心拍数やペダルの回転数、出力をリアルタイムで計測し、プロのトレーナーが作ったワークアウトメニューをこなす感じ。(こう書くとガチ勢な感じですが全然大したことなくフィットネス感覚です)
それらのメニューは個人間で大きく異なるため、皆一様に同じ数値というわけでありません。
1時間ペダルを回しギリギリ脚と心肺が持ちこたえる限界の出力値(FTPといいます)を基準として、そこからその人にあった最適な練習メニューを割り出すわけです。
自転車の場合は、この「FTP」といった数値やパワーウェイトレシオ(体重の何倍の出力が出せるか)がその人の戦闘力みたいなもので、その数値を向上させることで速く・楽に・遠くへいけます。
面白いことに、おっさんになっても最適な強度で無理なく練習を続けていると、このFTPは誰でも確実に上がるんですよ。
でも野球部の多くはそこまで徹底してやってないでしょうから、本当はもっとできるのに部活辞めたみたいな選手が多いような気がして・・・クッソもったいないなと。
団体競技のデメリット
冒頭の落合氏の「それに耐えられる選手がどれだけいるか」の部分なんてまさにそれ。
ようは個人個人で出力や心拍可動域が異なるわけですから、たとえば「有酸素運動でのスタミナ向上」を目的に選手へ同じ練習をやらせても、選手Aさんには最適な練習メニューだった。
しかし、選手Bさんにとっては無酸素運動の領域に達するほど強度が高かった。ということが起こるわけです。とうぜんBさんは練習についていけないわけ。
さらに、生々しいですが
- Aさんはマラソンは得意だけど野球はあんまり上手くない
- Bさんはセンスの塊みたいな選手なんだが線が細くてダメだ
的な。
もしくは練習がつらくてついていけないから部活辞める。的な。
感情論抜きにチーム戦力や野球界の損失を考えればダメージは大きいですよね。
なので、団体競技だとそこらへんが難しい。
AさんBさんの例だけで考えても根性論ではどうにもならないわけですし。
VO2MAXは大人になったら上がらんのよ
ところで、メルマガを読んでるみなさんの中には「地獄のシャトルラン」をやったことがある人はいますか?
たぶん学校のスポーツテストでやったぜって人が多いと思うんですが。
あのような最大酸素摂取量(VO2MAX)を測る系のクソきついやつ。
じつはこの値は、大人になったら鍛えても向上しません(泣)しかもそれがポテンシャルに直結する。
たとえば前述の「自転車の戦闘力FTP」という値ですが、これは無限に上がるわけではありません。
最大酸素摂取量(VO2MAX)で、ある程度伸びしろが決まってしまう。VO2MAXを超えることは不可能なわけです。
つまり、子供の時に最大酸素摂取量(VO2MAX)を向上させる練習を必死でやらないと、大人になってから鍛えようとしても「ポテンシャルが高いか低いかがもう決まってる」って話。
なんてこった・・・こんなことなら小中学の時にインターバルトレーニングとかサーキットトレーニングとか手を抜かずにやっておけば良かったぜ、と。
最近わりと後悔しています(笑)
技術あってのセンス、丈夫なカラダあっての練習
落合氏がいうように、結局は上を目指せば技術練習のハードワークは避けて通れないなわけです。
そこに耐えうる丈夫なカラダがあるかどうか。子供の時から最大酸素摂取量を向上させる練習をしてたかどうか。
センスがいくらあっても、やはり競技の専門技術が低いと試合じゃ役に立ちませんからね。
たくさん練習したい。でも耐えられるカラダではない。
じゃ練習時間を減らす代わりに質を上げよう。そうなると短時間で高強度な練習をしたい。
でも耐えられるカラダがない・・・みたいなジレンマですかね。
心拍数で運動強度を管理すれば体力は向上する
自転車のようにペダリングの出力を数値で表すことができませんから、野球部の場合は実際にどうすればいいのかというと・・・お勧めは心拍数で運動強度を管理すること。
ちょっと古い記事ですが東京ヤクルトスワローズの投手陣もやってるみたいですね。
もちろんチームの方針があるでしょうからチーム全体で取り入れることが必須でしょうが。
腕時計型は自主トレには使えるかと思います。心拍ゾーンを設定して、そこから外れると音が鳴るものとかあるので便利ですよ。
もちろんやみくもにきつけりゃいい・・・ってわけではなく、どの部分を鍛えたいのかっていう知識も必要です。
- 毛細血管を増やし酸素の摂取量を増加させたいのか?
- 有酸素域でのスタミナアップをしたいのか?
- 無酸素性作業閾値(乳酸が一気に溜まり始めるゾーン)を向上させたいのか?
- 乳酸の処理能力を向上させたいのか?
などなど心拍強度によって効果はいろいろあります。
最大心拍数と最小心拍数を計測し、心拍強度の何%のゾーンは○○な効果がある。みたいな感じでトレーニングをします。
上記記事にあるようなインターバルトレーニングは、心臓を強くする目的で私も結構やります。
1分30秒強度を上げてペダルを回し、2分レストで上がった心拍をリカバリーゾーンまで下げるとかね。
自転車を始めたころは運動不足すぎて、心拍は上がったら最後!
2分じゃ全く下がらんある意味ノミの心臓でしたが、慣れるとほんとに下がるので人間のカラダって面白いですよね。
あと、ライト勢にはあまりお勧めはしませんが「タバタプロトコル」ってトレーニング。あれはヤバい(笑)
興味のある方はググってください。実践するときはリアルにリバースしちゃうのでくれぐれも自己責任でお願いします!
心拍計が導入されれば同じスタートラインに立てる?
バイクトレーニングは個人でやる練習だからできるって話であって、野球部の場合は団体競技なので現実的じゃないかもしれません。
ただ、将来的には・・・入部と同時に安い心拍計を購入させて各選手の運動強度を管理するとかね。かなり面白いと思うんですよ。
野球は上手いのに練習についていけなくて辞めていった層が、強いカラダを段階を経て作り上げのし上がってくる。
チーム平均以下の選手がハードワークに耐えられるカラダをつくれる機会を与えられ、持ち前の真面目さ勤勉さで練習の質も量も上げてくる。
まさに才能ある選手と”同じスタートラインに立てる”わけです。そのあとは本人の努力、良い仲間に恵まれるか、それと運の問題ですけどね。
最終的には根気強く、粘り強くやった選手が報われる練習環境になればいいのになと個人的には思ってます。
以上、私の趣味の話でした。
あ、そうそう
ちなみに横隔膜筋とか肋間筋をゆる体操やセンストレで日々調整していると、腹圧のコントロールとか胸郭が大きくなったりとかするので、最大酸素摂取量(VO2MAX)向上させるトレーニングと併用すると最強ですよ!