これぞ野球上達の切り札!投球・打撃にも必須のトレーニングとは?
メールNo.111 配信日2016/04/18
前回からの続きです。
ベストを鍛えることが野球選手の使命
前回のメルマガで解説した通り
野球において「背骨の波動で得られる恩恵」は計り知れない。
波動は「流体構造のしなり」を鍛える練習でも最も核の部分ですので
野手・投手問わず、対象の選手が脊椎動物であるヒトなら必ず行ってほしいところ。
そしてもうひとつ。
選手が”さらに上の境地を目指す”場合、避けては通れないものがあります。
ピッチングやスローイングにおいて
必ず必要な「上半身の高度な操作を可能にする要素」。
ゆる体操の高岡氏の概念でいうと【ベストという身体意識】です。
感覚的なイメージですと
ベストを使って投げると、
あきらかに『肩関節で投げてる感がない』です。
「肩関節・肩甲骨・鎖骨」と「肋骨」といった上半身のパーツが上手く連動することで
それらが合わさって大きな関節のように機能し始め、
その巨大な関節で「ボールを投げる」という運動を行う。これがベストという身体意識です。
そうすると、肩関節だけ使った場合よりも複雑な力の使い方が可能になるので「球威」も「制球」も格段に上がるわけです。
実際にトレーニングするなら
まず、ベストの通り道である「ベストライン」を正確に身体で覚えながら
次に動きを交えていくと上手く投球に生かせます。
ベストには以下の3つの動きがあるので
その学術的な概念が初学者にはなかなか難しいかもしれませんが・・・
- サイクル(簡単にいうと縦回転)
- ローター(簡単にいうと横回転)
- パルト(簡単にいうと前後のズレ)
※これら3つの動きは野球選手に必須
※本気で勉強する人は高岡本を熟読してもらいたいので詳しくは書籍を参考にしてください。
【参考書籍】
★センター体軸正中線(難しい)
★身体意識メガトレーニング(やさしい)
オーバースローやスリークォーターで投げる投手・野手は
順サイクルと逆サイクル(縦回転の順回りと逆回り)、パルト(胸を前後にズラす)の3つの動きを練習してください。
ちなみにサイドスローやバッティングの押し込み手側の強化は
順ローターで巻き込むような動きを練習すると非常にスムーズに腕が出てきます。
もちろん、そこまで本気でやる必要のない人は
「肩回りや上半身のゆる体操」と下記の「マエケン体操」を理解するだけで構いません。
それだけでもベストを刺激しますし
いまよりも優れた上半身の動きは可能ですから。
マエケン体操は実はベストを鍛える方法に最適
私が中学生のころ
当時手塚一志氏が提唱したサークルスクラッチという体操がありまして
それの動きが独特なのですが、腕の振り抜き感がよくなるのでやり込んでましたね。
まぁ平たくいうと「マエケン体操」です。
マエケン体操はメジャーリーガー相手でもなんのその!
三振も取れる!!ホームランも打てちゃう!!!まさに優れモノです!!!!
【メルマガ用解説ページ】axislab石川のマエケン体操
これもベストラインを意識して順サイクル・逆サイクル、パルトが鍛えられます。
さらに左右で順・逆を別々に操作すると
センターも側軸も鍛えられるという、なんともおいしい体操である。
※多軸理論はまた別の機会にでも。できると動作のバランスが飛躍的に向上するってくらいの認識でOK
さらにさらに、体軸を前傾しながら行うことで
ハムストリングスも適度に刺激されますし、両股関節のゆるもリズミカルに行えるので
野球選手に必須の「体重を軸足股関節に乗せる」ニュートラルなポジションも鍛えられます。
そんな優れた体操ですが、ただ1つ問題が・・・・そう、動きが難しいw
知人の少年野球チームでは、アップ時にマエケン体操を導入しているみたいですが
少年達よ・・・手を動かすだけじゃアカン。それ盆踊りやでぇ
この体操は、ベストラインを身体で覚え
ベストに動きを加えることによって効果が出てくるわけですから
前田投手のようにダイナミックな動きができなければ、マジで意味がないのがこの体操の致命的な欠点。
マエケン体操の正確な動きやベストの意味を
語彙力のない小学生へ上手く伝えることができるなら
チーム全体の投球能力が大幅にアップします。
が、盆踊りでアップしているようでは今年も2回戦どまr…げふんげふん
ベストの威力は自分の身体ですら想像を絶する
下記のページに掲載した動画は、
かなり昔に撮影したものですがこれも面白いネタですね。
【メルマガ用解説ページ】(※メルマガ限定リンク)
椅子に座った状態でボールを投げるってネタですが
こいつも「ベストのパルト」で前後のズレを使ってシンプルに投げてるってだけです。
さらにいうと、肘がまっすぐ伸びない華奢な私が
撮影当時は筋トレも野球の練習もしていないで”これ”ですからね。
小手先で操作するとろくなことにならないと同時に、
人間の体幹部、”肋骨の威力が半端じゃない”ってことがちょっとはわかるかと思います。
肋骨が少しでも使えると体幹の爆発力がすごいことになりますからね。
みなさんにもとうぜん肋骨はありますよね?
使えていない、眠っている状態でプレーしてるわけですから・・・
逆にワクワクしませんか?
身体資源的にはチーム全体でみても
そこまで悪くないのに「肩が弱い」っていわれる選手は、
手足の使い方、テクニックに長けている分
こういった「肋骨ブースター」の弱さが目立つだけかもしれませんね。
たとえクイックスローやスナップスローであっても
手足はパワーを伝達するだけ、体幹主導で動作を繰り出せば
それなりに威力のあるボールが投げられますから。
腕を大きく使う前に、肋骨をたくさん使えるようにするってのが大切かなと。
それで、またまた確認しておきますが、
いきなりこれを真似すると身体を壊します。何度も言いますが形じゃダメ。
『ベストを練習すればこれくらい簡単にできる』ってのがわかってるんですから
椅子に座ってさっそく投げるのではなく、まずはベストを練習するのが先です。
指導者側はベストをまんべんなく教えるのが安パイ
余談ですが、よく小学生の指導で聞く
「ストレートがスライダー回転してしまうことがある問題」
【メルマガ用解説ページ】
こちらの動画でも触れてますが
選手のフォームによっては得意なベストの動きが異なります・・・いや、フォームによっては、ではないですね。逆です。
得意なベストの動きが選手それぞれにあって、
むりやり不得意なフォームへ矯正するとスライダーすることがあるって話。
仮にローター系の動きが得意な少年がいたとします。
監督・コーチ側からみると、
少年はどうも横から投げるのが癖のようで「腕を上げろ」とその都度指導する。
ローター系の動きは潜在下での出来事なので
少年本人的には、横から投げている意識があるかというとそうでもない。
むしろ腕を上げてるはずなのに、周りからみると上がってないと言われることもある。
指導者としてはここでルートが分かれるわけです。
- オーバースローに何でもかんでも矯正する
- 本人が投げやすいなら本人に任せる
- ローター系もサイクル系もできるよにトレーニングさせる
3は無いかw
でも、投手はサイクルかローターのスペシャリストとして
上手投げか横手投げに絞っても面白いでしょうけど
野手の場合は上からも横からも、試合の状況場面によって自在に投げ分けられるのが理想ですので
サイクル・ローター・パルトの3つともできるのが理想ですね。
指導のリスクとしても
選手の得意な回転を見極めるのが難しいので
じつは3がもっとも安パイなんですよ。
と、まぁここまで話してなんですが
かなりディープなテーマですので
ライト層の人はちょっと何言ってるかわからんって感じになってるかと。ここらへんでやめときましょう。
もちろん難しく考えることはないですよ。
脊椎動物として本来なら使えるはずの「背骨の波動」を呼び覚ましましょう。
それから、肩甲骨回りを自由に使えるように訓練しましょうって話ですから。
いつからトレーニングをやるのがいいのか?
最後にこれを言っとかないとですね。
「やるならなるべく早く、来週よりも今週、明日よりも今日やれ!!」です。
誰もが赤ちゃんの頃、背骨の柔らかさは魚のそれと同じようにクネクネしてた・・・
そいつを逆行して取り戻す、それに近づくことがゴールです。
なので我々のようなおっさんには・・・
不可能ということはないかもしれませんが、
生まれてから今日まで、
積年の頑固な凝りを5歳児レベルの柔らかさまで取り除くのは現実的じゃない。
だからこそ、やるなら早い時期から
「背骨や肋骨、肩甲骨の本来あるべき機能」を呼び覚ます必要があるわけです。
小学生なら数年間の凝りを戻せばいいだけですからね。
指導経験上、たぶん高校生くらいでも
日々ハードワークして身体を酷使していると厳しくなるんじゃないかなと。
それでも、おっさんからしたら『まだまだ若いのでどうにでもなるじゃろ』って感じですがね。
以上です。
今回のテーマはすごく面白くて
投げることが本当に楽しくなるし色々試したくもなるのでぜひチャレンジして
みなさんのピッチングやスローイングに生かしてください。
【究極のセンスアップサイト】には
今回扱ったテーマのセンストレも公開されているので
併せてトレーニングしてもらえれば幸いです。
野球は運動なので、記号的に頭で理解するより
運動として身体で覚えたほうが「試合で使える上質な動き」になりますから!