綺麗なバッティングフォームでスイングするには何をすべきか?
私はよくバッティングが上手くなるには技術とセンスのバランスが必要ということを言いますが、フォームのバランスが悪いというのはどちらかが欠けている場合がほとんどです。汚い打撃フォームでたとえヒットを打っていてもその選手にとってはベストパフォーマンスではないはずです。グランドで教えている一般的なバッティングフォームをとやかく言うつもりはありませんので、今回はセンスの部分でより美しくスイングを魅せるためのコツを解説しようかと思います。
効率良くバットを振ろうとしたら、下半身をしっかり使って体全体のバランスを考えながらスイングをしなければいけません。ですが、バットを持って運動するわけですから、観ている側からすれば直感的に上半身の使い方が評価の対象になるはずです。
ということで上半身の使い方についてお話ししたいと思います。私は普段このようなテーマは扱わないので過度な期待はしないでくださいw 「バッティングはあくまでも魅せるものであり美しくなくてはダメだ」と考えている若干ナルシストな選手に読んでいただければとw
綺麗なフォームは左右のバランスを考えろ
野球選手は身体的に左右のバランスが悪いと言われていますが、より美しくスイングを魅せるためには左右のシンメトリーにこだわる必要はあるでしょう。ただ、私が思うに左右のバランスが悪いからといってパフォーマンスが下がるとは一概には言えないかと思ってたりもします。いきなり余談になりますが少し解説。
身体的バランスの悪さはスイングには影響しない!?
これはどういうことかというと、運動の善し悪しというのは広義にみれば、重心のコントロールが上手くできているか?また、その“精度”はどれくらいなのか?です。
たとえば、チームである左バッターの選手が左右のバランスが悪いといわれていた。しかし、だからといって軸足である左足の踵骨から、右斜め45度へ右足小指第一関節に重心をピンポイントで移動しながらバットスイングするという重心の繊細なコントロールが出来ないのかというとそうでもないんです。
むしろ、そういうプロフェッショナルな動きを行うために身体的な左右のバランスが崩れているだけと考えれば、「右で100回素振りしたから、同じように左で100回スイングしよう」なんてことは必要ないはずです。
とはいえ、極端に左右の筋力差があると一般的に教わる基本のスイングという部分からは評価されないかもしれません。それから、注意したいのは「良いスイングをしている結果バランスが悪い」のはOKですが、「バランスが悪くて悪いスイングなってしまう」というのは、紙一重のようでまるっきり異なるものですから気を付けてくださいね。
インパクトで押し込む側が利き腕だとバランスが悪い
これは実際に打球の飛距離でわかってくると思いますが、右利きで右バッターの場合、普段は利き腕を押し込む手に使っているので飛距離が安定しているはずです。
逆に不慣れな左で打ってみるとフォーム的な問題を差し引いても、利き手と逆手とのバランスの悪さを少なからず認識するはずです。
打球を飛ばすためなら全く構わないのですが、今回のテーマはスイングの美しさ、バッティングフォームの綺麗さですから両腕のバランスを考えなければいけません。一般的には50:50のバランスで左右の腕がスイングに参加していればいいという事ですが、これはかなり難しい問題ですよね。
ゴルフでよくみかけるスイングフォーム矯正グッズはどうか?
ゴルフを趣味で行っているなんてお父さんは知っているかもしれませんが、左右のバランスが悪いスイングを矯正するためのグッズが色々あります。その中でも私が気になったのが両腕を固定させるバンド。
両腕の三角形を保つことが良いとされているのはバッティングも同じですね。ただ、ここで皆さんに質問なんですが、私も例外なく指導されたこの三角形、いったいなぜこれじゃなきゃダメなのか?わかりますか?
手や腕を使って振ることが難しくなり、結果的に体の回転でスイングができ、インパクトでより大きな力が伝わりやすいから…まぁ大体こんな感じでしょう。
バットのリーチを利用しないことで体の奥を使ってスイングする練習ができますからね。
手や腕を固定したら体幹部は果たして自由になるのか?
両腕に制限をかけてスイングした場合、上記のメリットがあるのですが、私がこのメカニズムで最も危惧するのが「体幹部の動きが眠ったままになってしまう」こと。
日常生活では手や腕が中心になってあらゆる動作を起こすため、肋骨や背骨といった体幹部を使うことはそれほど多くは無いはずです。
そういった無意識に成立している「手腕部>体幹部」というシステムをいわば強制的に逆転させようとするわけですから、これを理解していない選手は、固定されている状態にも拘らず、何とか手や腕でスイングしようとしてしまうわけです。そうすると脇を締めた窮屈な小手先でのスイングというのが成立してしまいます。(ここらへんもセンスの差で分かれますよね)
三角形を作った時に肩甲骨は肋骨から独立しているかが問題
小手先のスイングにならないように、上手に体幹部をメインに使って手腕部を従わせるシステムに変えていくには、手腕部と体幹部というのが自分の意識や感覚の中で別々に離れていることが必要になってきます。
あまり難しい事はいいたくないので以下簡単なイメージだけにしておきます。
たとえば、腕立て伏せなんてどうでしょうか?手を地面についた時に、肩甲骨は体幹部から離れているでしょうか?
これがもし、地面に手をついても肩甲骨が肋骨にへばりついた状態なら大変です。
両腕をバンドで固定してスイングしても体幹部は自由に動くことはないはずです。(体幹と手や腕が一体化して動いてしまうため)
このへばりついていない肩甲骨というのは、馬の両脚で作る三角形が非常にイメージしやすいかと。
肋骨の形状や肩甲骨周りの柔らかさからか、肩関節を支点にするのではなく綺麗に肩甲骨から手までがまっすぐに一致しています。
左右の腕のバランスを保ち、スイングの美しさ、綺麗さを求めるなら肩の関節から作る三角形ではだめ、しっかり肩甲骨から使っていくという事です。
野球はあらゆるボールの変化に柔軟に対応しなければいけない
肘をまっすぐ伸ばして自分の好きなタイミングでスイングができるゴルフなら、きっちりバンドで固定してシンメトリーな三角形を作ることは有効でしょうが、野球はここが難しい。
ティーボールのように一定のタイミングでスイングできるのなら、左右の腕のバランスは常に50:50でバットを振ることができます。ですが、野球の試合ではその日対戦する投手のタイプによって、打者は様々なタイミングが求められるわけです。
そうすると必ずしも50:50のバランスを保つことが必要とされていないんですよ。つまり野球の試合で美しいスイングの定義は何なのか?ってとこまでさかのぼってしまうのですw
とうぜんそれをダラダラと書いてしまうと、とんでもなく長くなってしまいますので(まぁ単純にめんどくさいので…w)割愛させていただきますが。
一言でいってしまえば「あらゆる状況にベストな対応ができるスイングこそが美しい」と私は思っています。ですから、広義にみればゴルフスイングも常に両腕のバランスが50:50に保つことが良いのかといったら違うはずですね。世界のトップクラスの戦いになれば、状況によっては30:70でやや手前に落とさなければいけないとか色々ありますからね。
上半身の使い方を調整しながら探ってみる
さて、では野球のバットスイングで理想である「あらゆる状況にベストな対応ができるスイングこそが美しい」動きはどうやって行えば出来るようになるのか?私のセンス理論でいえば、このサイトのスイング理論のページで紹介している「引き抜き動作」と「押し突き」動作の部分です。
とうぜんこの両者を個別に練習していって、身体や動きを創っていくしか方法は無いのですが、今回はそれらを統合した確認法というかお勧めな調整法をご紹介したいと思います。
引きと押しの最適なバランスを整える
やり方は簡単。まずは、お手々のしわとしわを合わせて「幸せ」のポーズを行います。そこから自分のバッティングフォームでいうトップの位置まで持ってきてください。右バッターなら右の肩付近、左バッターなら左の肩付近ですね。この時の手の組み方は自由です。最適な方法を探ってください。
この状態から、まずは押し手側の腕を行います。引手側つまり投手側の腕で押し手をブロックしてください。そのブロッキングに負けないように肩甲骨からしっかり押し込んでみましょう。同じように今度は引手で行います。押し手側をブロックさせて、それを引手で引っ張る。これも肩甲骨から引けないと上手くできません。
たったこれだけですが上半身のバランスを調整するのにかなり効果的ですよ。バットを持つ前に自分の押しと引きのバランスを調整してそれからスイングしてみてください。驚くほどスムーズにスイングができるはずです。
綺麗なバッティングフォームのまとめ
押しと引きのバランスはバットスイングの善し悪しも左右します。慣れてきたら50:50から気持ち引きを弱く、押し強く。などコースによって気持ちを変えるだけで勝手に変化できるように練習していくと良いかもしれませんね。○○じゃなければダメということではなくあくまでも自由自在に形を変えていく、状況によってベストな心身で対応していくというのが大切ですよ。
いまご紹介した調整法なんかもここだけは注意してというポイントだけ押さえて、ざっとしか解説しませんでした。これはセンスですからあとは本人の感覚や意識任せます。どんどんアレンジして意のままに変化していく上半身を目指してみてください。