バッティングのタメは頭で分かってもできない?
よくバッティングにはタメが必要だと言われていますが、このタメとはどういったことなんでしょうか?後方へ体をひねったり、伸ばしたりするのがタメだという指導者の方もいらっしゃれば、タメはグッと力を込めてエネルギーを溜める意味だという方もいらっしゃるでしょう。私はバッティングのタメとは、全身のエネルギーが加算されていくことを意味していると考えています。
イメージとしては下半身から上半身へと順番に、どんどんエネルギーが巨大化されていくという感じです。
筋肉は「グッ」と力こぶを作って生み出せるエネルギーは意外と少なく、ストレッチのように引き伸ばされる動きによって生まれる筋出力の方が大きいという性質があります。
この性質を活かして、全身の筋肉がそれぞれエネルギーを生み出し、各関節同士が連動して動き、エネルギーを加算させていく。こういったメカニズムがバッティングのタメと呼ばれているものなんです。
では、どうやったらエネルギーを加算させることができるのか?これは一般的に言われているように、下半身から順に回していくというのが手っ取り早いでしょう。
頭で理解するのではなくタメが作れる体を鍛える必要がある
ここで問題になってくるのが、足首→膝→太もも→腰→背骨→肋骨→肩甲骨→上腕骨→肘→手首→バットと上手くエネルギーを増大させながらロスなく力を伝えることが出来るのか?という問題です。
ここが皆さんが「頭ではタメを作ることはわかっているのだが…」と悩んでしまう原因です。
バッティングのタメを作ることができるのは、体の各パーツが脱力し、後方へ残るような身体を作らないとエネルギーは加算されないということ。
力んだ身体ではタメは作り出せない
だからこそバッティングではリラックスというのが大切になってくるんです。
打席で上手くリラックスができず、ガチガチに緊張してしまうバッターがいますが、そういうケースでは上半身と下半身が一緒に動いてしまいコマの軸のように単調に回転してしまいます。もちろん、上半身と下半身が一体化した選手というのはあり得ませんから、厳密にいうと完全にコマのように回転する事はありませんが、こういった単調な軸回転でバッティングをしてしまい、緩急に対応できない選手は意外と少なくありません。
たとえば、トップの位置が作れない、割れができない、下半身に粘りがない…など、その多くの悩みが程度の問題こそはあるものの「筋肉の拘束」「全身の不要な力み」によって生まれていて、それらが単調な回転運動を引き起こしてしまうということも考えられます。
とうぜんその筋肉の拘束や不要な力みが強ければ、エネルギーは加算されにくい体になります。
逆に筋肉がよく解れ、適切にリラックスが出来ていれば、スムーズにかつ連動して身体が動きエネルギーはどんどん加算されてい行くという仕組みになります。
タメを作るためのお勧めトレーニングは2つ
私がお勧めするのが軸足の股関節と肋骨のトレーニングです。
軸足の股関節周辺は、下半身と上半身をリンクする役割を担うので十分に行ってください。これらは筋力トレーニングという意識で取り組むのではなく、毎日継続して行うことで自然と試合で股関節が使えるバッティングになっていたという形にするのが望ましいでしょう。
それから、肋骨はもっとも難しいトレーニングといっても良いかもしれません。両肩甲骨のラインとしっかり別々に操作できるように行ってみてください。この部分が一体化している選手が多いので常に柔らかくというイメージを持つことも効果が高いです。
最後にタメのポイントのまとめですが、まずは何と言ってもリラックス!不要な力を抜くこと。そして勝手に腕やグリップが後方へ残るような柔らかい身体を作ること。これらを普段の練習から意識して行ってみるといいでしょう。