正しいバッティングフォームはバランスが大切である

これは何もバッティングに限った話ではありませんが、どんなに練習をしてもある段階へ到達すると途端に上手くいかないことがあります。ここで『努力が足りないからだ』と思えるタイプと『ここまでが自分の限界か』と考えるタイプとに別れると思います。本人の価値観によりますからどちらが正しいとは一概には言えませんが、上達しないのは努力している方向性が間違っているという可能性もあります。

私は『努力は報われる』と思っていますし『ここまでが“今の自分”では限界だな』と見切りをつけたりもします。

バッティングにおいては上達を諦めてすべてを終わりにしてしまうのは、じつにもったいないことです。上手くなるためのメカニズムをしっかり理解して、ピンポイントで遠回りせず効率よく練習すれば確実に今より打てるようになります。

打てるようになるためのメカニズムを理解する

まず、打てるようになるためには技術とセンスのバランスを保つことが大前提となります。どんな選手でも、これなくして上達はあり得ません。打てないというのはどちらかが足りない、もしくはどちらも足りないということ。

上手くなるには技術とセンスのバランスが大切

そもそもセンスは才能では無いのか?センスとは何か?という疑問が、従来の野球指導では少なからずありました。私はこれらについても言及していますので、良かったらこちらの記事もご参照ください。(⇒天才とセンスの違いはこちら野球センスのメカニズムはこちら

センスと技術を明確に分けてトレーニングする

メカニズムをしっかり理解して後天的に磨くことは可能であることに気づかなかったために、これまで多くのチームでは、センスと技術を明確に分けてトレーニングしてきませんでした。その結果、世にある数多くの素晴らしいバッティング理論も『~バッティング理論はおれには合わない』『結局できないじゃん』という矛盾が起こっていたんですね。

つまり、バッティング理論が悪いのではなく、それらの理論やトレーニングは

  • 技術的な打撃理論、またはトレーニングなのか?
  • センスを鍛えるためのトレーニングなのか?

を明確に分けてこなかったのが原因です。

そして、いま自分に足りないのはどっちなのか?を認識しないで闇雲に練習を行っていた…。

だから、そこさえハッキリさせてしまえば、あまりに効果のない、わけのわからないバッティング理論&トレーニングでない限り、どんなバッターでもバッティングは上達するんですよ。

なので、バッティングを上達させるという強い目的意識があるのなら、努力することやその目的自体を諦める前に自分はバッティングの技術が足りないのか?それともセンスが足りないのか?を客観的に認識したうえで、正しい方向へ努力をすることが非常に大切になります。

正しいバッティングフォームはセンスの領域である

では、どのように自分の欠点を探すのか?ですが、これは様々な手法があり一度に説明するのは難しいので、ここではバッティングの技術とセンスの境界線が曖昧な代表例をご紹介しましょう。

よく少年野球のグランドでは『正しいバッティングフォームを身につけることが重要だよ』と教えているコーチを見かけます。

これは正しい指導ですよね。でも、皆さんは正しいフォームが技術練習で身に付くと思っていませんか?じつは、センストレーニングで身につけるべきであって技術練習では行うべきではないんです。

フォームには技術的側面とセンス的側面が存在する

私は、センス的なフォームを正しいフォーム、技術的なフォームを基本のフォームと分けています。これらは両方とも同じように大切で、どちらも身につけなくてはいけません(上達=技術×センスのバランス)。皆さんやチームの監督・コーチが思っている「正しいバッティングフォーム」というのは、元を辿れば超一流選手のフォームです。

彼ら超一流の選手が打つという動作を行った…それらを第三者がバッティングフォームと呼称したものを指しますから、言い換えれば『彼らの体から生まれた結果的な形』ということになります。ということは、我々がそのバッティングフォームを真似しても超一流選手の体と、その体から生まれる使い方や動きが出来なければ、単なる物まねにしかならないということです。

これがセンスという部分。

逆に技術的な基本のフォームというのは、野球をやる上で習っておきたい最低限の要素ですね。投手が投げてきたボールを打たなければいけないルールですから、バットをどこかしかにポジショニングして構えなくてはいけません。そのベースとなるものが一般的に教わっている打撃フォームというやつですね。

学年が上がると基本のフォームを教わらなくなる理由

高校まで野球をやった方ならわかるかと思いますが、学年が上がっていくにつれ、学童野球で教わったようなフォームって教わらなくなりますよね?つまり、打つためのベースは『リラックスして構えて…グリップの位置に気を付けて…コンパクトにレベルでスイングする…』というように、ある程度は教えるから、あとはその時の状況や自分の身体に合ったフォームを模索してくれという感じ。これが自然な流れ。

たとえば、野球経験者と素人は一目見れば違いがわかるように、やはり打つときのフォームに差が出ます。これが技術的なフォームの違いです。それを、すでに打てる選手へ教え続けるのはどうかと…。じゃそういう基本的なフォームが出来ている選手は何をやるかというと、正しいフォームを身につけるためにセンスを鍛えるわけです。これの流れを、ほとんどの選手ができていないから上手くなりそうでならないんです。

体を動かした時に高度な動きが出来るかどうかでは、我々と超一流選手とではあまりにも違います。その差をどうにかしなくては、正しいバッティングフォームには永劫に辿りつきません。

だからこそバランスを常に考えて練習しなくてはいけないということ。技術に頼りすぎるとセンスが足りなく、センスに頼りすぎると技術が足りなくなる…まさに表裏一体。こう考えるとバッティングは技術もセンスも必要不可欠であり、両者のバランスが非常に大切になってくるのがわかると思います。ここを間違わなければバッティングは計画的に上達するということです。

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