打席でリラックスして構えるには?
私も選手だった頃は経験ありますが、打席で緊張しているときに『もっとリラックスしろ』とベンチから指示されてもこれがまた難しいんですよね。厄介なことに身体というのは自分が思っている以上に過緊張状態にあるので、頭で力を抜かなきゃとわかっていてもなかなかできるもんじゃないんです。ましてや公式戦のチャンスの場面で回ってきたら、足が震えてしまう選手もいるでしょう。
『あいつはメンタル面が弱いから…』って諦めるのはカンタンです。しかし、その貧弱なメンタルは体の強張りや委縮から起こっているということを少年野球の指導者の方の多くは、あまり重要視しません。この部分をもう少し見つめなおし徹底するべきかと私は思います。
ここで重要なのは、頭で考えるのではなく身体を解すことを優先するということ。
ポイントは3つ
- 身体で最も意識が濃い部分である手の緊張を解す。
- その場で軽く弾み、全身をリラックスさせる。
- 全体を見渡して視野を広げる。
バッティングは手の緊張を解すだけでも違いがでる
まず1つめは、手を解すこと。皆さんも行っているかと思いますが、日常生活で緊張する場面に遭遇すると『いったん集中しよう』と無意識に手や肘を揺すってしまいます。これはバッティングにも非常に有効で、特にバットのグリップと手の関係を改善するためには役立ちます。
グリップの正しい握り方についても記事にしていますが、「小指と薬指で握り…」「傘を差すように…」など、そういった細かい握り方は練習している内に身に付きますので緊張しているときにはあまり気にする必要もありません
ただ、手が緊張しているとビックリするくらいグリップとのフィット感が生まれないので注意してください。細かい握り方をというよりも、握るときの質は意識して行う必要があります。理想的にはベターっと密着させて握るのが最も効率的にエネルギーをバットへ伝えやすいので普段から手とバットの関係を意識して練習するといいですよ。
バット中心操はリラックス効果が高いので、ベンチで座っているときもネクストバッターズサークルで待機しているときも行っておきたいところです。最低でも手だけはしっかり解すようにしておけば、フィット感のまるで無いバラバラな振り方に陥る危険性は減りますからね。
また、バットを持たなくても手や手首、肘や肩を揺する方法もあります。
良い選手は試合中でも練習でも暇さえあればストレッチを入念に行いますが、緊張してしまう選手は同じように行っておくと良いかもしれません。
アスリートはなぜ集中するときに軽く上下に弾むのか?
2つめは、その場で軽く弾むことで全身をリラックスさせること。
柔道の選手はよく試合に入る前に上下動を行います。そうすることで運動の中心となる体の軸を意識しやすくなり動き全体のバランスが良くなると言われています。
また、この動きは重心を感じるためにも役に立ちます。どのスポーツでも高度な運動するには、重心の精密なコントロールを求められますが、ただ立っているだけでは重心がどこにあるのかを感じることは難しいわけです。ましてや緊張して足が震えているような状況だと重心のコントロールが上手くできず、文字通りフワフワした地に足着かずになってしまいます。
上下に軽く弾むことで重心がわかりやすくなり、バランスを取る際の力の入れ具合や方向などが定まってくる結果、動き全体が良くなるということです。これは誰でも簡単に出来る方法なのですぐにグランドで試したいですね。
視野を広げてミスを恐れない心境でプレーをする
3つめは目の使い方。緊張している選手は周りが見えなくなることがあるように、極端に視野が狭くなる傾向があります。ある一点を集中してみるのではなく、全体をボヤーッとみる目の使い方をする。そうすることで視野が広がり緊張もほぐれ、周りが見えてきます。
よく鍛えられたチームは複数個のボールを使ってボール回しを行いますが、これなんかは視野を広げる練習の代表とも言えるでしょう。
「心配り・気配り・目配り」といったように周りに配れる選手になりたいですね。
打席で緊張したらこれら3つのポイントを試してみてください。それから最後にもう一つ加えるとしたら…シンプルになること。あれこれ考えては打てるボールも打てません。どう振ろうとか細かく考えずに「ただただ相手を打つ」それだけを考えることが大切ですよ。