バッティング上達のプロセス-選手へ上手に教える方法

バッティング上達には何が必要か?

バッティングセンスはどのように指導すると効果的に上がっていくか?私石川が実際にセンス指導で使っているテクニックをご紹介します。選手へ打撃指導をしている人、バッティングの教え方に対して悩みを持っている人に少しでも参考にしていただけると幸いです。

※すべてのトレーニングはソフトにかつデリケートにゆっくり行うようにしてください。


エアーバット中心操

エアーバット中心操の動作解説
超基礎中の基礎!バットの真芯でボールを当てるには
バットの重心をしっかり感じられるリラックスした身体が必要です。
バットを持たない状態でバット中心操をやってみよう!

まず通常のバット中心操を行ってください(以下通常)次にバットを持たずに行ってみましょう(以下エアー)両者を比べると、バットを持たないエアーの方が自由自在に揺すれるということが身体で認識できるはずです。
これは、バットを持つとどうしても無駄な力が入ってしまい、バットを無理やりコントロールしようとしてしまう結果です。そこで、ポイントを絞っていき「どこからどこに無駄な力が入っているのか」を点検していきましょう。

力みがないか身体のパーツを1つ1つ点検してみよう!

まずは手首。手首をエアーで揺すっていきます。柔らかく揺すって…ではバットを持って通常のバット中心操を行ってください。どうでしょうか?同じ感覚で揺すれていますか?必要最低限の力で揺すって下さい。無駄な力は入っていませんか?同じように、肘・上腕・肩関節・肩甲骨・右半身…というように順々に点検してみてください。私の指導経験上、多くの選手は肘関節から体幹に近づくにつれガチガチです。
芯に当たらない最大の理由はこの力みです。この力みはバッティングでは想像以上に厄介なので、私はすべての選手に必ず徹底的に指導します。

エアーバット中心操のポイントは5つ!

バット中心操は動作も単純で簡単かもしれませんが、1つ1つ丁寧に行えば必ずバッティングのレベルは飛躍的に上がりますので軽視せずクリアできるまでじっくり行ってください。

  • 柔らかく、いたわるように揺すれているか?
  • グリップを握った瞬間にグッと力む自分を客観視できるか?
  • 肘から先しか動いていない動作になっていないか?
  • 前腕の外側に過度の負担がかかっていないか?
  • 揺れがリラックスして全身に伝わっているか?

これらをクリアできると【重心感知能力】の基礎が出来上がりバットコントロールが非常によくなります。現象的には素振りで力みによる体の引っかかりがなくなり、フッと振り抜けるようになります。(楽にバットが振り抜ける)次はエアーバット中心操の導入例です。

エアーバット中心操は調子のバロメーターに!

私が選手を打てるように指導しようとしたとき、このエアーは「打ち損じたらすぐにやれ」がキーワードですね。ティーバッティングでもフリーバッティングでも必ず芯を外れる時はありますよね?そこで何もしないのはあまりにももったいない。

センスを上げているということは”真芯に狙って当てることをしようとしている”わけですから、狙った部分と違う所に当たったということは『その誤差はどこから生まれたのか?』という課題がまた一つ新たに生まれるわけです。それが上手くなる秘訣です。イチロー選手のようにそれらを1つ1つ丁寧に点検していけばいいんです。

もちろん1スイングで一々止まってその都度何十分もエアーを行っていては練習になりませんから、実際には数回意識するだけです。2・3回揺するだけでも違いますからね。簡単ですがリターンが大きいトレーニングでもあります。

四方の構え

バット中心操-四方の構え
上下・左右方向でバット中心操を行う

当サイトではバット中心操は、バットを立てて行う方法が紹介されていますが、四方の構えとはその名の通り4つの方向へバットをポジショニングしバット中心操を行うという方法です。

四方は上下、左右です。バットをあるポジションに指定し揺すっていくと必ず力み、過緊張が生まれます。これは必ずと言っていいでしょう。そこで何となくできたと流すのではなく、よりリラックスしてバットを揺すってください。もうこれ以上リラックスできないだろうと心の底から思った状態が真芯に当たるレベルです。

四方の構えのコツは3つ!「抜く」「正確性」「感じる」

四方の構えも真芯に狙って当てるトレーニングでは核の部分になると指導しています。私の印象ではやはりお父さんよりも高校生、高校生よりも小学生、男性よりも女性の方が上手いように感じます。このトレーニングはまず力を「抜く」ということが大前提になります。どれくらい抜けばいいのか?という質問をよく受けますが、答えはバットを揺する力のみ、必要最低限まで、です。たぶん…バットが落ちるんじゃないか!?というほど力を抜いて丁度いいかもしれません。

選手の目標は「バットを揺する」という動きを「小手先で操作している状態」から抜け出す事です。ここまできたら真芯に当てる能力【重心感知能力】は、かなりのレベルに達しています。最後に、バットのポジショニングの「正確性」というのも守ってみてください。水平に伸ばしていた腕が、力を抜き、芯を「感じる」ことで、結果として腕の高さがズルズル下がってくるはずです。これがリラックスした状態での四方の構えの真の正体です。逆に下がらないで腕を固定していたら上手く揺すれず芯は感じられません。指導者の方は要チェックです。

四方の構えは素振り中に行え!

素振りはバッティングフォームを固めるのに有効な練習法ですが、同時にスイングコースがマンネリ化してきて、身体の動きもパターン化してくる面もあるいわば「諸刃の練習」でもあります。コースを指示してスイングさせるなど工夫をされていらっしゃると思いますが、無料動画「ホームランの打ち方」でも解説したように、投手のボールは常に同じタ゗ミングでは振れません。ましてや、投手の投げるボールを予測して打つというのは自分の首を絞めている状態です。

頭では考えてはダメ。でもコースがマンネリ化し、運動がパターン化する…。四方の構えはこれらを一発で解決してしまうトレーニングなんです。簡単にいうと…あらゆる方向でも同じようにバットをリラックスして揺すれるレベル=どんなコースでもバットの芯を感じて自在に扱えるレベルということです。そういった身体の動きを意識させながら素振りをすれば効果は抜群でしょう。四方の構えのおススメは断然素振り中ですね。私は実際にチームに指導しに行く時などは、自主トレの素振り用にこの方法を教えていますよ。

指導者が注意しておきたいポイント

四方の構えは、バット中心操系のトレーニングでもかなりリターンの大きい練習になります。見た目はかなり簡単そうに思えるので一見して上手にできてる選手でも、実はバットの真芯に当てる能力、【重心感知能力】を鍛える方向とは違うやり方になっていたりもします。私が主にみている項目を以下にまとめましたので参考にして注意深く選手を観察してみてください。

  • 肩関節から先までしか動いていない
  • バットの芯をただ観ているだけで柔らかく揺すれていない
  • クロスに腕を持ってきた途端に揺すりに固さが目立つ
  • 逆手だと一気に精度、質、柔らかさが欠如する
  • ポジショ二ングを忠実に再現しようとして力みすぎている
  • 揺すりが二拍子になってしまい滑らかでない
  • ポジショニングを変更するとき流れるように動いていない
  • 気持ち良さそうに行えていない ※最重要項目

トスバッティングのやり方

トスバッティングの方法
バット中心操で行うトスバッティングは「バットに素直に従う事」ができるため
想像以上の良い当たりが飛ぶので注意が必要です。
逆にいえばバッティングは小手先の操作は一切必要ないということ!

トスバッティング(ペッパー)はどのチームでも行っていると思います。最近の野球界ではトスバッティングは試合で行うスイングとは違うので意味の無い練習だというチームもいるようです。確かにそういったスイングという意味で考えた場合使えませんのでマイナスの練習でしょう。ただ、バットの芯に当てる練習というように目的を変えた瞬間、プロと何ら変わらないレベルの高いトレーニングになります。

私もある程度バッティング技術のある選手には、ボールを打たせることから指導する場合もあります。高校生でも小学生でもです。そんなときに私が使うのがこのトレーニングです。やり方は簡単。バット中心操を行いながらトスバッティングを行っていくだけです。ただこれがかなり難しいんです。なんせ狙って100%真芯に当てようとしているわけですから…、少しのズレも許されないわけですね。

トスでダメならティーバッティング

正面から投手に上から投げられるといきなり統合性が問われる練習になってしまうので、バット中心操のトレーニングの目的である「バットの芯に当てる能力を鍛える」事がシンプルに行えません。

投手からのボールが難しいなら、ボールを置けるスタンド付きのティーで行うのもいいでしょう。
ただ、指導者の方はここの判断が難しいと思います。やはりバッティングは投げてきたボールを打って初めて楽しさというのを感じますので。私はこの場合、その選手の性格やテンションによって判断します。たとえば…ちょっとやんちゃな選手だったら、トスバッティングをそのまま続けて、何とかバット中心操の意識の割合を高めさせ、芯で当てる練習から逸れないように誘導していく。

もうひとつはものすごく真面目な選手。複雑すぎると混乱してしまい本質から逸れやすいタイプですので、ティーバッティングでバット中心操でのバットの動き方を徹底して身体に覚え込ませます。リラックスしてシンプルかつ完璧に重心感知能力の練習を行えるので上達は圧倒的に早いですね。次はバット中心操でのスイング方法をご紹介します。

バットが行きたい所に落とす!これが究極の極意

上記でお話しした通り、トスバッティングやティーバッティングを行う時は練習動作がシンプルならばシンプルなほどいいんです。あくまでもこれらの練習の目的はバットの真芯に狙って当てる能力【重心感知能力】を鍛えるためのみです。そこで私は必ずこれを選手にみせます。

自由軸落下の原理
体感としてわかるのでぜひ行ってみてください

『バットはグリップを蹴ると芯が勝手に行きたい方向へ倒れてくれる。だから何も操作する必要はないんですよ。勝手に芯がボールにくっついてくれます(笑)』
あとは、揺すって揺すってひたすら揺すって、ボールが来たらスッとグリップをどける。たったこれだけです。

チェックすべきは2点!

トレーニングにハマっていくためのポイントをご紹介。このバット中心操というトレーニングは本当に奥が深く、やってもやっても次から次へと欲が出てくる面白いトレーニングです。2つのチェックを意識して行ってみてください。ハマるためのポイントまず1つ目は「意識」⇔「修正」の繰り返しを身につけること。これが上手に取り入れることができる選手は圧倒的早さで上達します。

バット中心操でのトスバッティングを例に解説すると…『揺すって、揺すって~、もっと柔らかく揺すって、芯を感じて。芯はバットの一番重いところだぞ~、もっと柔らかく~、(意識が高まったら)…ス゗ング!かなりズレたな(笑)自分が感じた所と全然違うぞ?いまのは肘の柔らかさが足りなかったな。じゃもっと柔らかく揺すってやろう』ここまで入ります。ここまで出来るなら【重心感知能力】は平凡な選手では考えられないレベルまで高まります。いわゆるバッティングセンスを感じるというやつですね。

2つ目は適当さ!センスのある選手はとにかく縛られません。もちろん不真面目になれと言っているわけではありませんよ。センストレーニングも真面目な選手が一番上手くなるように作っています。ただ、野球を行うのは人間です。気分が乗らない時もあるでしょう。そういった状態で行っていても上達はしません。思い切って休ませることも必要でしょう。

でも「打てない」「試合での調子が上がらない」と長期的に、それこそずーっとモチベーションが上がらないということが起こりますよね?そこで目的意識を変える。このモチベーションの上がらなさというのは、統合性をいきなり問われる練習、つまり複雑な練習を行っている時に起こりやすい現象です。言い方を変えると「嫌いな食べ物は口にしたくない」状態ですね。そういう時はその複雑な練習の目的をシンプルに変えていく方法を私はよく行います。

難しく考えないで相手を倒すこと、つまり原点回帰することが最も有効です。これまでもそれで吹っ切れた選手を私は何度も見てきています。指導者の方はこの2つを上手く行動で示すと選手はハマるので、難しく考えずご自分も【重心感知能力】を上げてやろうくらいの気持ちで一緒になって行うとかなり面白い効果が現れるかもしれませんね。結局は人間ですからね(笑)

バット中心操~二刀流のやり方

バットを2本で行う方法
両手にバットを持って行う方法

試合で結果を残す秘訣は剣豪になりきること!?

これは子供に大人気のトレーニングです。二刀流はその名の通り、バットを2本使います。バット中心操を両手で行うという大変高度な動きなのですが、カッコよさからか小学生が物凄く上手です(笑)※【3週間でバッティングセンスを上げる】にも二刀流のトレーニングが収録されていますが、そちらは「ホームランの打ち方」で解説した【密着】を鍛えるための二刀流トレーニングです。

バッティングでは右半身と左半身を別々に使うことが求められるのですが、バット中心操でも体感していただいた通り、左右同じレベルで揺するのが本当に難しい。逆手で芯の位置を身体で感じるのが、こんなにも難しいのにただただバットをスイングするだけの練習しかなかったというのは冷静に考えるとおかしな話ですよね。

このトレーニングのコツは宮本武蔵になりきることです(笑)流石に中学・高校生にもなると恥ずかしさの方が勝ってしまい一歩引いてしまいがちですが、センストレは楽しんだモノがちです。思い切ってなりきることをお勧めします。指導していてノリの良いお父さんなんかは一緒にやってくれますね。

二刀流でチェックするポイント

宮本武蔵の二刀流

バットの位置は武蔵と一緒の下段が良いでしょう。別々に揺する運動に慣れてきたら、バットを立てて行ってみてください。前腕の外側に力が入りやすい、つまり小手先でバットの動きを作ろうとしてしまいがちなので注意が必要です。左右別々で道具を動かすのが難しくてできないという選手へ、実はコツがあるんです。

こういった動きを行う時には必ず考えてはだめなんです。脳機能でいうと左脳、つまり計算するなということです。どうするかというと身体の軸です。左右のちょうど真ん中を意識するんですよ。そうすると上手くまとまって柔らかく揺すれるようになります。

どうするかというと身体の軸です。左右のちょうど真ん中を意識するんですよ。そうすると上手くまとまって柔らかく揺すれるようになります。

  • 動きを考えてしまい偽物の形を作ろうとしていないか?
  • 生きたヘビのようにバットが滑らかに動いているか?
  • 僧帽筋や三角筋に過度なストレスがかかっていないか?

ハイレベルな凄い選手達!

私が指導した選手には様々な選手がいました。その中でも非常にセンスがある選手が行っていた二刀流のトレーニングをご紹介します。本気で打ちたいと思っている選手は参考にしてほしいトレーニングです。

無料動画「ホームランの打ち方」で引き手と押し手が非常に重要だと解説しましたよね?突きの章ですね。この2つの動きをマスターするためのセンストレーニングが【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されている「引きの極み」と「スープ作り」というメソッドです。その「引き」と「押し(突き)」を左右別々に持ったバットで行っている選手がいました。しかも、二刀流のバット中心操で!つまり動作のイメージはこうです。

左右二本のバットを柔らかく別々に揺すって、芯の意識が高まってきた次の刹那、左手のバットは引き。右手のバットは突きでスイングするという神業です(笑)これは身体の中心、つまり軸がしっかり意識できていないと絶対に出来ない動きですね。「引きの極み」と「スープ作り」を徹底的にやり込んだらできるかも!?

センスのある選手が行うトレーニング
※非常に危険なトレーニングですので
十分注意して、ケガをしないように無理をしないで行ってください。

バットの経験値を上げる!?

もう一度宮本武蔵の画像をご覧になってください。刀の長さが左右で異なっている事に気がつきましたか?これも非常に練習になります。バット中心操の上達のコツは、いち早く自分のお気に入りのバットの重心を感知することです。そこで私がよく指導で使うのが、普段使っていないようなバットを何本か用意させて、それら1本1本の重心を感じさせ、違いを認識させるんです。

バットにはトップバランス、ミドルバランス、カウンターバランスとあり、さらに重量も長さも異なります。その違いにいち早く対応して、どのバットでも芯を正確に感じることが狙いです。それを二刀流で行うんです。まさに”左脳で”考えてる暇はありませんね(笑)否応なしに身体で二本の芯を感じなければいけません。長短重軽、そしてバランス…。これらが上手くいくとお気に入りのバットが目覚め真の力を発揮するかも!?

バット中心操での八方の構え

全方向で行う方法
あらゆる方向でバット中心操を行う方法
難易度、効果共に高い練習です

バットを自在に扱える打者は恐れられる!?

いよいよ超基礎編のラストです。動作の解説を文章にしているので、実際にセンストレーニングを行って自分の身体を動かしてみないと逆に難しく感じてしまい『どこが超基礎なんだ』と突っ込んだ方もいらっしゃると思いますが…(笑)さて、ラストは八方の構えです。四方の構えが上下、左右なら、八方はあらゆる方向です。上中下、左右、後、斜め…バットがポジショニングできる方向はすべて行います。やはりポイントはバット中心操の基本に忠実に
「柔らかく」
「いたわるように」
「優しく」
「芯の重みを感じるように」
「気持ちよく」ですね。

バットがどこにあろうが芯を一定に感じられるのなら、【重心感知能力】は完全に狙って芯に当てることができるレベルです。もちろん試合で活躍するにはそれなりにバッティング技術が必要ですが…超基礎編ではそこまでの完璧さは求めていませんので難しく考えずに気楽に行ってください!

スムーズな移動でより芯を感じやすくなる

バット中心操は前後左右に揺する際、1・2、1・2というように二拍子にならないよう注意してください。1~で繋ぐように揺するのがベストです。このように一拍子で揺するには、小手先では操作できないほどリラックスすると自然とできる現象です。つまり、余計な力が入っている段階では二拍子、超リラックスして揺すれている場合は一拍子と判断してください。これはバットのポジショニングシフト時でも同じことがいえます。

たとえば上から右へ移動しようとした時、揺する動作が一時停止していませんか?これを繋げるように動かすには、バットの芯を中心に常にグリップが先行するように腕を動かさなければなりません。芯を無理やり動かさないこと、重い部分を無理やり動かさないということです。そうすることでバットの動きがまるで生きたヘビのようにグニャグニャに動き、八方の構えはより完成度を増します。流れるように好きな方向へ揺すっていくことがこのトレーニングのコツです。

1拍子で繋がるのが正しい動き
常にグリップを先行させ
必ずバットの重心(芯)に逆らった操作をしないように心掛けると
ポジショニングシフトが滑らかに行く!

八方の構えは身体を大きく使える!

このトレーニングは腕だけの運動ではなく、肋骨も運動に参加させる必要があります。色々なポジションで揺すればそれだけ使う、使える部位が増えるということですから結果的に身体を大きく使えることができるようになります。しかし、はじめのうちは中々体幹部は動かないものですから【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されている「肩甲鎖流し」や「肋骨回し」などをやり込み、ある程度体幹部が動かせるようにしてから行うといいでしょう。

  • バットのポジションが毎回パターン化されていないか?
  • 手首を中心に無理やりバットを移動させてないか?
  • 速く動かそうとして柔らかさを失っていないか?

以上が超基礎編です。5つとも練習法は異なり難しく感じたと思いますが、すべてバット中心操ができれば簡単にできる内容です。実際に小学生が自主トレで行っている内容ですので、バット中心操の基本的動作をしっかり理解しトレーニングを行ってください。

超基礎編チェック項目

章のまとめに指導のチェックポイントを挙げておきます。以下のポイントを押さえていればバッティング指導の質が変わってきますので、ぜひ参考にしてください。

  • 逆手でも違和感無く芯を感じることができる
  • 腕の外側が筋肉痛にならない
  • 短く持たなくても優しく揺することができる
  • グリップは隙間なくフィットした握りになっている
  • 違うバット10本で行っても芯はハッキリ感じる
  • バットに従う意識でバットを扱えている
  • ティーバッティングは、ほぼ全球芯に当たる
  • トスバッティングで10球連続で芯に当てる事ができる

打球を上げるバッティングをみにつける

斬り上げ

斬り上げの動作解説
肩周辺の力みが肩甲骨の動きを限定します
バットを下から上へ上げるにはリラックスが必須!

基礎編に入ります。ホームランの打ち方の基礎編は打球を上げること即ちパワーヒッター系の弾道を身につけることです。超基礎編がクリアできている選手というのはバットの扱い方に長けているので、無理やり振り上げたアッパースイングにはなりません。仮にこの基礎編でそのようなアッパースイングになってしまうのであれば、超基礎編に戻ってバットを完璧に扱えるようにしてください。

肩甲骨から斬り上げろ!

私がよく指導する方法です。バットの芯を垂らすように、グリップ部を上げていくトレーニングです。基本動作は【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されてる「肩甲鎖流し」というトレーニングです。肩甲骨を前方へせり出す動きがある程度できる選手には指導していますね。このトレーニングは、ただただグリップを上げるのではなく肩甲骨や肋骨周辺の筋力で上げるのがコツです。そうすることで体幹部を上手く使う癖をつけられるし、バットの軌道を身体に覚え込ませることもできます。重力に逆らう事でわざと無駄な力が入りやすい動きを誘発し、それを修正させることで、突きの軌道をスムーズに行えるようにするのが狙いです。

斬り上げのポイントは4つ!

どうしても肘から先で操作してしまいがちです。そういった身体の反応を克服していくのがこのトレーニングの狙いでもあります。

  • バットは外側へ垂れ下がっているか?
  • 肘関節や前腕部に負荷がかかっていないか?
  • 翌日に僧帽筋や三角筋が筋肉痛になっていないか?
  • 肩甲骨をできるだけ前方へせり出せているか?

これらをクリアできると、打球を上げる突きの軌道が安定し非常に打球が上がりやすくなります。現象的には擦った当たりではなくバットにボールが乗った打球がある程度飛ぶはずです。次は指導者のポイントをご紹介します。

アッパースイングは間違い!

無料動画「ホームランの打ち方」で基本的な理論をお話ししましたが、自分を中心に相手を動かそうとすると相手が重くなるということは体感していただけましたか?バットには正しい扱い方が存在し、その扱い方が適切であれば勝手に軌道は作られるものです。これは打球を上げるにも、低い打球を打つのにも共通していえます。私は選手のバットの扱い方、つまり超基礎レベルがどの程度できているかがわかりますが、この判断が非常に難しいようです。

そこで、一つの目安となるのがバットの重さでしょう。重いバットを操作するには小手先では扱えません。逆にいえば重いバットは芯がわかりやすいので扱いやすいんです。「短く握れ」という指導がありますが、重いバットだからこそ長く持ち、芯の重みを最大限利用すべきです。そこで、難なく扱えている選手は、バットが勝手に軌道を創りますので、無茶振りのアッパースイングにはならないはずです。逆に、重いバットを小手先で操作してしまう選手は超基礎編のバットの正しい扱い方が身についていません。このように判断してください。見た目で判断するのではなく、正しい道具の扱い方ができているのかを判断すると上達の方向性を間違えることはありません。

下段の斬り上げ

下段の斬り上げ法
斬り上げの上位トレーニング
軸の前傾をリンクさせる練習です

下段の斬り上げは、前項でご紹介した斬り上げの上級トレーニングです。【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されている「骨盤前傾操作」というメソッドを組み合わせます。無料動画「ホームランの打ち方」で私が斬り上げの動作を行っていますが、骨盤前傾がある程度出来ないと、腰椎前屈になってしまい椎間板ヘルニアになる危険性がありますので選手も指導者の方も十分注意して行ってください。

下段の斬り上げのポイントは3つ!

  • 大腿四頭筋が過緊張していないか?
  • 数十回行うだけで腰椎に違和感を感じていないか?
  • 入れ替え動作はスムーズに行えているか?

非常にレベルの高い股関節周りの使い方を求められるトレーニングです。【3週間でバッテゖングセンスを上げる】に収録されている「骨盤前傾操作」を十分にやり込まないと腰や膝に負担がかかる全く異なるやり方になってしまうので注意が必要です。

骨盤前傾操作は指導者の眼力が求められる!

私が選手の野球センスレベルを即座に判断する場合、この「骨盤前傾操作」がスムーズに出来るかどうかを使います。しかし…これが非常に難しいんですよ。骨盤前傾は可動域、つまりスポーツテストのような柔軟性があればあるだけいいというレベルではありません。骨盤前傾とは言い換えれば身体の軸の操作です。野球で軸が必要なのは大半の方が認識していらっしゃると思います。その軸を野球のあらゆる動きでスムーズに操作できる選手がいわゆる「センスのある動き」ができるんです。

ですから、たとえ手が地面に着くほどの柔軟性があっても”腰椎から曲がって”いてはまったく意味がありません。つまり、骨盤から頭のてっぺんまでの軸を自由に操作するからこそ意味があるのです。指導者はどれだけ動かせたか?を観るのではなく、スムーズに骨盤前傾(軸の操作)が出来たかどうかを見抜かなければいけません。そういた本質を見抜く目が求められます。そのうえで深く骨盤前傾が出来るならベストということですね。

下段の斬り上げは爆発的なパワーを生み出す!

超基礎編でバットの正しい扱い方をマスターした選手は、小手先でバットの軌道を作ることが全く無意味な行為だという事が実感としてわかってくると思います。ただ、そこまでいくと力感というのがこれまでと全く違い打球が遠くへ飛ばない感じがするんです。これはハンマー投げのようにバットを振り回さない分、物理量が足らないという事からきます。その物理量を確保するために何をするのか?この答が下段の斬り上げです。

身体の重さや身体のズレを利用すれば、自分が持っている身体から巨大なエネルギーを生み出せるんです。コンパクトに振っているのに、身体全体を無駄なく使うので打球が飛ぶんです。無理やり振り回したアッパースイングより比べ物にならないほどに確実性を増してね。身体資源の乏しい(身体の小さい)選手こそ試してほしいですね。筋トレで関節に負担をかけるよりも合理的かつ効率よく打球を飛ばせます。

ストバス連続ティー

ストバスで行う連続ティーバッティング
体幹部を駆動体として使えるバッターを目指す!
身体のキレを増す練習法です

ストリームバスターは突きの強化やルートの精度を上げるには最適なトレーニングです。肋骨回しで爆発的なエネルギーを生み出し、それを突きの一点にコントロールするのは当然簡単なことではありません。1つ1つセンストレを丁寧に行っていきセンスのある身体を創ることが大切になってきます。無料動画「ホームランの打ち方」でも紹介したストリームバスターです。このストバスに【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されている「肋骨回し」というトレーニングメソッドをコラボする練習法です。比較的高校生に人気の高い練習です。私が提唱する優れた4つのスイングの【早さ】を極限まで高めるトレーニングですので、ボールの見極めが下手くそだと感じている選手はぜひ行ってほしいですね。

ストバス連続ティーは早さを極限まで高める!

ティーバッティングを連続して高速で打つ練習を見かけますが、私には目的が全くわからない野球の練習TOP10に入るかもしれません。高速で打つのがどうしても体幹部を拘束するようにと打っているようにしか見えないんですよね(笑)多くの指導者の方にこの練習の意味を聞いたところ、諦めない・辛さに耐えるメンタルを鍛えるといった根性論は論外として、やはり身体のキレを高める練習のようです。しかしこの練習法では「キレ」つまり一瞬の動き出しの早さを鍛えることは不可能でしょう。高校生でもたまに見かけますが、動作をみても小手先なんですよね。

体幹部をロックして肩関節から先しか動いていない。これではダメなんです。超基礎編すらできていません。もちろん、彼ら高校生はバッティング技術が高いので【重心感知能力】のズレを技術でリカバリーしてしまい見た感じでは打ち損じはほとんどありません。ですが、こういった本質力はプロとは全く違います。ここに試合で活躍できるかできないかの差がありますよね。いわんやですよ。我々指導者が小中学生に、そのような体幹部拘束ティーバッティングで身体のキレを鍛えようと教えるというのはいかがなものでしょうか?

厳しいことをいいますが何万回やっても効果はないんです。だからこそ、バッティングセンスをダイレクトに鍛えないとダメなんですよ。この連続ティーでいえば、私だったら体幹部、特に肋骨を自在に動かしていきながら、動き出しに早さを求めさせ、突きの一点にその爆発的なエネルギーをコントロールさせることを選手に要求します。小手先では到底間に合わない程に間髪を入れずにトスをしてね(笑)これは体感したら一発で理解できますよ。従来の連続高速ティーがどれだけ拘束的かつ使えない動きということがね。

ストバス連続ティーのポイントは5つ!

このトレーニングは意外とチェックするポイントが多いので1つ1つ丁寧に行ってください。

  • 両肩甲骨は前へ十分せり出せているか?
  • バットを軸と見立てることはできているか?
  • 肋骨回しのリズムは滑らかに出来ているか?
  • 肋骨主導の深くて強い突きは打てているか?
  • トップの位置へ戻す時も肋骨主導で出来ているか?

10回も連続して行えばかなりハードな練習になるので量よりも質で行うのが良いでしょう。これも「肋骨回し」の基本動作ができて、ある程度やり込まないと絶対に出来ない動きです。無理をせずしっかりセンスを鍛えながら行ってください。

バッティング練習直前がおススメ!

ストバスの連続ティーの導入は、実戦に近いバッティング練習前が断然おススメですよ。イメージ的にはこんな感じです。超基礎編で行うバット中心操系のトレーニングを使い、身体の各パーツを丁寧に念入りにチューニングしていき、ストバス連続ティーで肋骨のターボブーストを一気にかける!そうしてバッティング練習に入るとシンプルに打球が飛びます。

もちろん、他にも自分にあったやり方はあるでしょうから強制はいたしません。何度でも言いますが「縛られないのがセンス」ですからね。しかし、チームの環境によってはフリーバッティング前にティーバッティングを行えない、そもそもセンストレを行えない環境の選手もいるでしょう。そういった場合は、自主トレで一人修行を行うか、それらを意識しながら小さいモーションで行うかをおススメします。ようは物理量が確保できればいいわけですか、動いていないようにみえても実は出来ているということはいくらでも考えられます。意識をして行うと良いでしょう。まあ一番いいのはセンスを鍛えるという方針のチームに所属することですが…全国的にスタンダードになるのはあと何十年かかるかわかりませんからね(笑)

振り子軸移動

振り子の動きで体重移動
軸の移動は身体に覚え込ませないとダメ
バッティングには必ず必要になってくるので要チェック

「ホームランの打ち方」で松井選手のように軸を操作していくには…という理論を紹介しました。軸を操作できない選手がこのポジションを真似すると腰を痛める危険性があるという事も動画内で指摘しました。このトレーニングはその軸の倒し方を本質レベルで身につけるためのメソッドです。打球を上げるパワーヒッターには必須の身体操作ですので私は徹底的に指導しています。選手にホームランを打たせようとした時に、私が指導のベースにしているトレーニングでもあります。

軸ティーが必要不可欠なわけ?

【3週間でバッティングセンスを上げる】で「軸ティー」というトレーニングが収録されていますが、これは壁を作るのに最適なトレーニングです。これまでも私は色々なところで壁について何度も解説してきましたので、基本的なイメージはわかったという方も多いと思います。壁というのは軸のコントロール法であり、決してブレーキ要素を生み出してはいけない。ということですね。

打球を上げようとする時は、身体の軸をダイナミックに移動させ、まるで振り子のように軸を前後にスイングしていき物凄いエネルギーを生み出していきます。その巨大なエネルギーをコントロールするのが、皆さんがよく聞く「左の壁」の役割なんです。ただこの壁というのは繰り返しになりますが、軸のコントロール法であり、ただただ身体の開きを拘束させて押さえる物…ではありません。つまり、この壁というのはバッテゖング技術ではなくバッティングセンスの領域だということですね。

だ・か・ら、壁を指導しても打てないんです。何故なら軸の壁が出来ていないし、それをコントロールすることも出来ていないから!そういった状態で腰をのけ反っていくから痛める。ここは指導者の方には十分注意していただきたい部分です。選手側も無理やりホームラン狙いで腰痛持ちになるんだったら、最初から本気でセンストレをして打球を上げるのに必要な軸の操作を身につけてください。腰を痛めると野球全体の10%も楽しめないので敢えてここは強く言っておきます。

指導者が注意しておきたいポイント

「軸で打つ」というレベルは一般的に指導者側には、かなりのレベルが求められると思います。私が学童野球のお父さんに教えているチェックポイントを何個か挙げてみますので参考にしてください。もちろん高校生を指導する方でも通用します。しつこいですが「センスを鍛えるということは選手・指導者問わず普遍的に存在する」ものだからです。

  • 軸が股関節に真っ直ぐ乗っていない
  • 体重が脚の外側に乗りすぎている
  • 膝が外に割れている
  • 軸移動が主導、バットが従属の動きが出来ていない
  • 腕がリラックスできず振り子の動きになっていない
  • 軸と振り子のバランスが悪く片方が上手く戻ってこない
  • 肩甲骨や肋骨から振り上げていない
  • 折り返しで力みが発生しブレーキ要素が多くなっている

振り子軸移動のコツはタイガーウッズ

振り子軸移動のコツはゴルフスイングです。【3週間でバッテゖングセンスを上げる】に収録している「軸ティー」を、ある程度やり込むと”股関節への適切な軸の乗せ方”というのが自ずとわかってきます。その軸の乗せができると、今度はその乗せた軸を移動させることができるようになってきます。これは私が指導してきた中で選手が必ずその段階を踏んでいるので間違いないでしょう。そのレベルにまで来たら、軸の振り子を行ってください。もちろん併用でも構いませんが、このトレーニングは見た目ほど簡単ではなく最初の内は軸を移動させることも出来ないと思います。ゴルフスイングを気持ちよーく行うと両腕がしっかり振り子の動きをしますので、そのリラックスした状態で行うのがコツです。必ず軸の振り子が先に動き、それにつられて上半身が動くということを意識してください。もっとも、完璧にリラックスしていれば勝手に慣性力が働きオートで出来る動きなんですけどね。

骨盤前傾での軸ティー

軸を前傾させながらティーバッティング
体軸の操作がカギを握る
股関節をフル活動して打球を飛ばそう!

いよいよ基礎編の最後です。ここまで出来るとバッティングセンスとは何なのかが100%体感できるはずです。ここまで読んで難しく感じた方も多いと思います。確かにセンスの基礎がない方には難しいかもしれません。ですが、実際にここまでの指導システムは【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されているセンストレを行うとどなたでも出来ます。私が選手に指導を依頼された場合もこのレベルまでは行ってもらっていますので、選手の方はもちろん、指導者の方もぜひチャレンジしてみてください。

軸の壁+骨盤前傾=!?

軸ティーはどちらかというとアベレージヒッター系のトレーニングなんですが、骨盤前傾で斬り上げの原理を使っていくとパワーヒッターにもかなり有効なトレーニングになります。これも完全に骨盤前傾ができないと腰を痛める危険性がありますので注意が必要です。

骨盤前傾の角度調整が幅を広げる

骨盤前傾は見た感じ深いと日本人のようなスイングにはみえません。敬遠する方がいらっしゃると思いますが、これも可動域の説明をした通りです。どれだけ動いたかではなく、物理量が確保できればいいので外国人のような深い前傾は必要ありません。とはいっても、軸の操作を完璧にするには3段階程度の深さ、つまり軸を倒す角度の調整が自在に出来るのがベストでしょう。このトレーニングではトスはかなり前へより低く上げてもらいます。理由は今いった軸の角度調整が初学者には難しいからです。ですから角度調整は気にせず、とりあえず軸を股関節へ乗せ、壁で軸をコントロールし、軸を前傾させながらボールを拾い上げるように打つことを行うといいでしょう。私がこのトレーニングを指導するなら、角度調整は後回しに、徹底して壁のコントロール〒前傾を覚え込ませます。

軸ティー骨盤前傾のポイントは4つ!

骨盤前傾操作、つまり軸の操作がシンプルに問われるトレーニングです。余計な部分は排除して軸を意識して行うと上手くいきます。以下は私が指導の時にポイントに挙げる4つの要素です。

  • 翌日膝の裏が筋肉痛になっていないか?
  • 股関節裏側(お尻)はしっかり使えているか?
  • 腰背筋が過緊張していないか?※腰椎を痛める危険性あり
  • 腰が落ちて重心が低くなっていないか?

骨盤前傾の基本動作が出来ているのならこのトレーニングを導入してください。しかし骨盤前傾が出来ない選手は絶対に行わないでください。必ず腰を痛めます。私はこの部分は徹底していますね。厳しい言い方しますが、そのレベルの身体では何をやっても上達はしませんからね!徹底して骨盤前傾に専念し、軸の操作を鍛えた方がむしろ打てたりもします。

軸を前傾させながらティーバッティング
振り子軸移動とリンクすることで「打球を上げるスイング」が完成!
無理やり振り上げたアッパースイングにならず
腰を痛めない正しいスイングができるようになります

軸の振り子で身体が戻ってくる!

振り子軸移動で行った、軸のスイングをこの軸ティー骨盤前傾操作をリンクさせて行います。かなり複雑な動きですのでこれだけみて行うのは不可能です。センストレーニングは1つ1つの身体の使い方をマスターすると自ずと出来るように作ってありますので段階を経て行ってください。スイングの際に軸が後傾しますが振り子軸移動が出来ていると軸が勝手に戻ってくるので、腰が反りっぱなしという事もなく、スムーズに一塁へのランニングポジションへ入ることができます。このスイングができるのであれば間違いなく打球は上がっているでしょう。腰を痛めずに、気持ちよく軸が振り子化し、肋骨主導の突きの威力をコントロールできれば基礎編はクリアです。ここまでが【3週間でバッティングセンスを上げる】【ホームランの打ち方】の指導システムです。ビッグイニングを作れる繋がる打線を私が1から創るとしたらここまでは必ず全選手に指導するでしょう。

基礎編チェック項目

章のまとめに指導のチェックポイントを挙げておきます。以下のポイントを押さえていればバッティング指導の質が変わってきますので、ぜひ参考にしてください。

  • ハードワークをしても腰椎に違和感が出ない
  • お尻の筋肉が使えていて常に充実感がある
  • 突きの威力が上がってきたのがわかる
  • 肩甲骨がかなり前方へせり出せるようになった
  • 肋骨と肩甲骨が別々にズレるのがわかる
  • 膝の伸びすぎ、曲がりすぎがなく安定している
  • ロングティーではバットにボールが乗った打球がほとんど
  • フリーバッティングで10球中8球は打球が上がる

投手とのタイミングを最適化する

骨盤前傾操作‐軸足強化‐

軸足強化の動作解説

「軸足のタメ」を創り出すには、股関節周辺の動作改善が必要不可欠です。3段階に分けて自在にタイミングを創り出せるようにティーバッティングを行っていくのが狙い!レベルの高い変化球に対応するには、軸足のハムストリングスにはハードワークでもへこたれない強さが必要です。この画像は骨盤前傾操作のトレーニングです。初級編ではこれにティーバッティングがリンクします。非常に難しいトレーニングですので無理をせずに行ってください。

軸足の注意点

初級編です。ここからのレベルは指導者では【センス理論】をある程度理解する必要が、選手では【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されているセンストレーニングを完璧にこなす必要があります。そうでないと効果がないトレーニングになります。このトレーニングは軸足のタメを創り出すトレーニング方法です。一般的には大腿四頭筋や内転筋で踏ん張るようにしてこらえるように指導しているかと思います。しかし、バッティングではブレーキ要素を如何にして減らせるかが問われるので、踏ん張った時点で勝負には負けているということです。

骨盤前傾で軸を股関節に乗せている状態で待つ事ができる身体にすることが打者には求められている。しかもかなりのタイミングの幅を持った状態で、です。そうすることで軸が前へ突っ込むことなく、しっかり自分のスイングができるようになります。

軸足強化のポイントは4つ!

初級編からは私の指導を直接受けていただくのが最も安全なのですが、一応チェックポ゗ントを挙げておきます。

  • 重心は足裏のニュートラルなポジションに置けているか?
  • 膝の中心は股関節と足裏を真っ直ぐ繋げているか?
  • 肩甲骨と肋骨のスムーズな移動は出来ているか?
  • 軸の角度調整は仙骨から行えているか?
  • タイミングを崩されてもタメ続けることはできるか?

イメージ的にはタイミングを外され、体勢を崩されそうになった時に「アクセルを踏み続けられるか?」それとも「ブレーキを踏んでしまうか?」という感じです。多くの選手は後者であり、踏ん張ってしまうのですがそれがそのままタイミングの取り方に直結します。これは実際に直接指導を受けていただきたいので多くは記載いたしません。

密着軸キャッチ

軸を前傾させながらティーバッティング
ボールに対しての対応力を強化する方法
タイミングが上手に取れない選手は必須!

【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録された「密着軸キャッチ」ですが、初級編ではより高度なトレーニングが要求され、選手のパフォーマンスを飛躍的に向上させます。

やり方はものすごく簡単!

「ホームランの打ち方」をご覧になられた方は周辺視という目の使い方を知っていると思います。初級編では、この周辺視を使って【密着】の強化を行います。基本動作ではパートナーを中心にサークルで密着をしていくという方法ですが、初級編ではパートナーを2人以上にし、選手側には誰がいつトスをするかをわからない状態にします。中心視でパートナーの動きやボールを追っていくと間違いなく反応は遅れるでしょう。ですが、周辺視で全体をみると普段の動きでは考えられないほど反応速度が上がります。その目の使い方を強化しつつ軸の密着をトレーニングすることで、変化球への対応も飛躍的に向上します。だいたい2人対1人で反応できるレベルは欲しいところですね。このレベルも直接指導を受けた方が良いので多くは記載いたしません。

センスのある選手のゴロの捕り方とは?

ローリングス

守備のグラブの動作解説

今回は初めて守備を公開いたします。守備の基本というと一般的には「腰を落とせ」「正面に入れ」「体で止めろ」「グローブを前に出せ」…など使い古されたあいまいな指導で、実際にどういった動きなのかを説明していないように思えます。いくら練習しても上手くならず、エラーをすれば上記のあいまいな指導で怒鳴られる…。ふと横をみるとチーム1上手い○○君が華麗に捌く…。そんな中で、いったいセンスのある選手はどういったメカニズムをしているのか?という疑問が湧いていたと思います。そこを今回お教えできればと思います。

グラブを前に出したければ肋骨を回せ!

このトレーニングはよくチーム単位の指導を依頼されたときに選手にお見せする動作です。わかりやすいし、なによりバットの構造がアンバランスなのが丁度いいんですよ。やり方はバットの芯側をグラブ側の腕に置き、自分の体に包み込むように肘、肩甲骨、肋骨を回転させていくんです。これだけでもグラブさばきが良くなります。もちろんこの動きも【3週間でバッティングセンスを上げる】に収録されているトレーニングメソッドで鍛えることが可能です。「肩甲鎖流し」というトレーニングで肩甲骨周辺の筋肉を柔らかくし、スムーズな回転を養う事が出来ます。やはりこの動きも、肘から先しか動いていないと後ほど説明する捕球の仕方に影響が出てきますので、まずはセンストレで身体の奥が使えるようになることが先決でしょう。

ローリングスのポイントは2つ!

野球は守備も重要ですからしっかり行っておきたいですね。私が指導する際にポイントにしている点を2つ挙げておきます。

  • 肘が大きくスムーズに回っているか?
  • 過緊張で肩が上がりすぎてないか?

骨盤前傾はあらゆる動きに影響する!

体軸の前傾のやり方

守備でも当然使えます。軸の操作が自在にできるかというのは野球センスに直結しますからね。そこでよく守備で「腰を低く落とせ」と指導するのは”目線をボールに近づける事”だと思うんですよ。でも腰が落ちると動けないんですよね。なぜか?その腰を落とした体勢ではブレーキ要素があまりにも多いから!これは指導者も理解していますよね?そうです「踏ん張れ」です。ブレーキを掛けっ放し状態では、筋肉も関節もきついから「踏ん張れ」って言うんですよ。でも動けないんじゃ守備にならないんですよ。相手より如何に早く指定のベースへボールを届けるかが求められているのですから、動きづらいなんていうのは論外です。

しかし、腰が高いと目線がボールに近づかない…。これを解決するのが骨盤前傾です。腰がめちゃくちゃ高いのに、目線は低いというポジションがとれるんです。でも、周辺視やこの後説明する軸の密着を使えば、プロ野球選手の明らかに腰を落としていない捕り方が誰でも出来るようになるんですよ。彼らは基本ができているからあの動きが出来るのではなく、あれが基本なんでしょうね。

これがセンスのある選手の捕り方!

センスのある選手の捕り方

これらをリンクさせた捕球動作が基本の守備になります。学童野球でこれを行えば同じエラーをしてもチーム1上手い○○君と同じ扱いをされるでしょう(笑)これは本当に面白いんですよ。それまではエラーをしたらとんでもなく怒られていた選手が、ローリングスでボールを包み込み、骨盤前傾で捕球体勢に入るとそれだけで別次元に見えてしまうんです。極端な話、同じエラーでも巨人の坂本選手のファンブルアマチュア選手のファンブルでは別の印象を受けるんですよね(笑)そこがセンスでしょう。

守備に自信がない選手は、この2つの動きを徹底して行うといいかもしれませんね。最初は近い距離で確認するように行って慣れてきたらノックで行ってみてください。もちろんこれらの動きはバッティングにも走塁にも影響が出てきますので、今までは嫌いだったノックも好きになり、練習のモチベーションも上がってくるはずです。そうやって無駄のないように合理的に練習していく事が上達の最大の武器ですね。

打球への密着

逆シングルでの捕球体勢

最後は「体の正面に入れ」という指導に噛みつきます(笑)これは紛れもなく【密着】です。打球の軌道に自分の体の軸をスススーッと寄せていき、その寄せた軸を前傾させ(骨盤前傾操作)て、ローリングスの回転でボールを包み込み捕る、その包み込んだグローブが密着させている軸に吸い寄せられていく…。そうすると一連の流れで捕球から送球に入れるんです。

これができるといわゆる「居着きのない動き」になり、見ている側はその動きにセンスを感じるんですよ。センスの無い選手は、腰を落とす、捕る、見る、投げるが別々の動きになってしまうから見ていて不快になるんです。1つ1つの動作が区切れていたら、相手より早くボールをベースに届けられませんしね。そのもたつきが指導者の方は気に入らなくて怒鳴るのではないでしょうか?【3週間でバッティングセンスを上げる】で紹介している「密着軸キャッチ」をゴロで行うと守備の基本トレーニングになるかもしれませんね。

おわりに

いかがだったでしょうか?動作を文章で伝えるのは非常に難しく、伝わりにくい部分が多々あったかと思います。全く伝わっていなかったら申し訳ございません。「3週間でバッティングを上げる」に収録されている笑っちゃうくらい簡単なトレーニングと「ホームランの打ち方」で解説した意味不明で難解なセンス理論…。【上達のプロセス】はこれら2つを完璧に結び付けるアイテムになると私は思っております。そこまでいえるのも、これまでに実際に私が指導してきた、数多くの選手達、指導者の方達がこの3つを使って結果を残してきた方法だからです。ですから、自信を持ってあなたにおススメいたします。

もちろん私があなたの体を直に触って直接指導をするに越したことはありませんが、世界で1つだけの自分の体でバッティンググセンスを鍛えるということは本当に楽しくてこれ以上ない遊びだと思います。ですから、まずはご自分でセンスの世界を味わってみてください。本内容があなたの野球上達に少しでも活かされたらこの上ありません。

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