なでしこジャパンから学ぶ「強さ」とは?
やりましたね!なでしこジャパン優勝おめでとうございます!2度の逆境をはねのけての優勝はものすごい価値がありますよね。アメリカチームとの試合での差を考えれば、高校野球でたとえると決勝でコールド寸前の7点差を2度追いつき延長でサヨナラ勝ちをした程の戦いだと思います。この驚異的な粘りはどこから生まれてくるのでしょうか?
私は、センス理論で野球が上手くなるには「技術」×「センス」×「環境」の バランスが大切だと色々なところで解説してきましたが、 世界のベスト4に入るようなチームというのは実は技術的差はほとんどないんです。
『ここまで来ると「気持ちの問題」だ』という言葉を聞いたと思うんですが この相手に勝つという気持ちというのは、長年培ってきた技術から生まれるのかというと そうでも無いんですね。
センスのある人間というのはユーモアな人間が多く「前向き」「機嫌が良い」「明るい」「向上心がある」、そういった部分もセンスのある動きというのは引き出してくれるんです。このメカニズムを簡単に説明すると、身体の調子がいい時なんかは他人に面倒事を頼まれても「しょーがないなぁ」とは思っても渋々行ってあげますよね?でも、立っているだけでも疲れるほど身体の調子が悪いと「そんなもの俺に頼むなよ」ってキレたりするじゃないですか?
この身体の調子というのが、何かというと人間本来が持っている身体の機能が正常に働いている状態の事なんです。こういった部分をセンスと呼んでいるんですね。つまり、センスは才能ではないと私が言っているのは 身体本来の機能を取り戻すことは誰だってできるということです。
なでしこの例でいえば、先制されてやっと追い付いて延長に持ち込んだら 再度勝ち越されて…、いくら身体の調子が良くてもこんな面倒事だったら 普通の人間だったらちょっと考えますよね(笑)でも彼女たちはそれを乗り切ってPK戦に持ち込んだんです。
しかし、ここまでだったらアメリカも変わらないんですよ。 大会を通して本調子じゃなかったチームが決勝という一番大事な試合で あれだけのパフォーマンスを出せたのは技術とセンスの高いレベルでの共存ですよね。でも、アメリカは負けてしまいました。 もちろんPK戦というのは運が非常に左右すると言われていますが、 この差はなんだと思いますか?
なでしこジャパンのすごい所というのは、 技術もセンスもそうですが、なにより【環境】がいいんですよね。 優勝が決まるPK戦の前で通常なら『ウッ』と一歩引いてしまう状況でも 笑いが止まらないというんですから、これは強敵ですよ。そういった環境を創り上げた佐々木監督やチームスタッフ、これが非常に 大きかったと私は思います。
とうぜん、にこにこやれば優勝できるなんてことはあり得ませんよ。 彼女たちは高いレベルでの技術であり戦術であり、 高度な動きでありコンビネーションであり…そういったものがあるからこそ 環境というのが大きく影響するということです。
実際にGKの海堀選手のPKのスーパーセーブのシーンは 仲間のキックや結果を一切見ずに、集中して「止めることだけ」を考えていたそうです。 これは動画で私が言った 「相手を倒す」事しか考えていない選手は最も強いという事の良い例です。
片一方では追い付かれて勝たなきゃいけない極限のプレッシャーから蹴る。 もう一方ではヘラヘラ笑いながら挑み、止めることしか考えていないGK。運だけではなく、こういった部分というのは高いレベルの試合であればあるほど 大きく影響するという事をしっかり認識していてください。今年の甲子園大会はこういったチーム力にフォーカスして観戦してみると 意外な野球の面白さ、団体スポーツの素晴らしさというのが見えてくるかもしれませんね。
大会も始まって最後の試合に臨んでいる選手も多いかと思います。 1通1通、個人的なメールを送りたいところですが 多忙のためできません。申し訳ございません。”最後まで自分のベストを尽くせるように思いっきり楽しんでください”また、敗れてしまったという方はこれで終わりではなく 「生涯上達」ですので、これからもがんばってください。