今年一番印象に残った選手は生粋の努力家

今回は今年私が指導した選手で非常に印象に残った選手がいるので 皆さんにご紹介したいと思います。ご紹介したい彼は、中学生です。彼はお世辞にもセンスがあるとはいえない選手でした。私の上達論で、 “野球上達=技術×センス”というのがありますが、 彼は技術も自信が無く運動も得意ではないということ。

私はセンス指導が専門ですから、 技術指導は行いませんという約束で指導を開始したのですが・・・ かなり時間がかかりましたよね。まず、「3週間でバッティングセンスが上げる」という動画に収録されているセンスのベースになる10のトレーニングを徹底的に行ってもらいました。この動画は諸刃の剣で、 構成がシンプルすぎるが故に2つのルートに分かれるんです。

1つは、何も疑問を持たずに行う成功ルート。 もう1つは、本質を見抜けず軽視してしまう失敗ルート。

真面目な選手こそ練習の本質を見失いやすいということ

私はわざとこのような構成にしているんですが、 彼は前者の何も疑問に感じることが無いというタイプではなかったんですね。 かといって、軽視しセンストレを行わなかったというタイプでもなかった。いちいち疑問に感じてしまい、100%理解しないと行動できないというタイプだったんですね。本当に真面目で努力家という感じです。

ただ、これが大問題で運動が苦手とか技術がどうこうというより 物事を100%理解しないと動けないという方が上達には致命的でした。ここを気をつけながら つまり、考えずにひたすら正しいやり方だけを求めるように指導を行ったんです。

すると面白いことに技術練習も効率が上がり、 野球が半年前、1年前と比べて明らかに上手になったと監督に褒められるまで 上達したんです。
センスのある選手の特徴で 「飲み込みが早い」というのがありますが、 身体を創ることで技術的な部分も効率よく上がってくるんです。

結論から言うと、 技術も真面目すぎて技術練習の本質が見抜けず、 ただただ行っているレベルだったということです。あまり真面目ではない選手のほうが効率よく技術を上げることができる というなんとも理不尽なことが起こっていたのでしょうね。結果的にチーム内では練習を一生懸命行っていたにもかかわらず 上手くなる練習は一番行っていなかったということです。

100%理解しようとすればするほど矛盾が生じてきてしまう事は 指導をする上でも非常に厄介な部分でもあるので 指導者の方はここを注意しながら行うといいですよ!結局やるのは人間ですので、ちょっとくらい緩んでいる部分が無いと 正常に機能しないということですね。真面目で、余裕があって、リラックスしているのに集中している。こういう部分もセンスの領域でしょう。

「3週間でバッティングセンスを上げる」に収録されている センストレは地味で面白くないですが、自由で独創的な動きや発想が したければ、やはりこういったベースの部分を疎かにしないことが大事ですよね!性格も前より全然明るくなったそうで、 今は野球が楽しくてしょうがないようですよ(笑)そんな彼が今年一番印象に残った選手ですね。

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