ダル・涌井の両投手からみる手の役割とは?
ダルビッシュ投手がようやく本来の制球を取り戻しつつありますね。オープン戦から数え何度か実戦登板しましたが、何れも思うようにコントロールできなくて苦戦していました。MLBに舞台を変えたことで投球の環境が大幅に変わりましたが、その中でも最も大きいのはボールですね。MLBで使用されている硬式球は日本製のボールに比べ作りが荒く表面の革が非常に滑りやすいといわれています。このボールの特長を身体で理解するという作業が非常に難しいわけです。
ここ数試合はストライクが先行していて、本人の中でも「どのタイミングで・どの方向へ・どれだけの力を加えるといつものボールが投げられる」という感覚を掴めてきているのかと思います。
手を柔らかくすることが必須条件
ダルビッシュ投手のボールと手の関係のこだわりは半端じゃなく、常に新しいボールの回転軸や回転数を求めては、それをものにする努力を惜しみませんよね。ただ、ここが非常にデリケートな部分で吉とも凶とも出る可能性があるんですよ。
今回のようにボールが変化した場合、つまり「手とボールとのフィッティング」が上手くいかない場合、より本質的な意味で握りを変えていかないと対応できません。それはシームがどうこう、深い握り浅い握りという表面的なものではなく、手とボールの関係を変えるという意味です。
ボールによって手そのものが上手に変化しなければダメだという事です。
ここが一流選手とアマチュア選手の超えられない差だと私的には思うのですが、どうしても我々アマチュアはその場しのぎで滑らないような握り方を考えてしまいますが、手自体を柔らかくリラックスさせてボールにブニッとフィットする手を日々創っていかないと、センスというレベルでは一流選手に永劫近づくことは出来ないでしょう。
野球選手と握手すればその力量がわかる!?
私はよく初めて指導をする選手と握手をしたりします。もちろんあいさつという意味もありますが、上記のフィッティング感がどれだけあるかを計るためです。理想は握手したときに、まるで赤ちゃんの手を握ったかのような柔らかくて隙間の無い握手です。逆に最悪なのは石のように固くて隙間だらけの握手ですかね。これだけでも実は野球が上手いか下手かがわかるんですよ。正確に言えば野球が~ではなく、道具の扱い方が上手かどうかですが。
効率よく道具にエネルギーを伝えるためにはどうしても避けて通れません。そういう意味では、野球上達の最も近い方法でしょうね。野球はそんなに甘くはありませんが、強いていうなら「手を尋常じゃないレベルまで柔らかくしろ」ですね。これだけで道具と自分の関係が改善され、エネルギーの効率化に繋がります。
L18の復活は手の質感だけ!
埼玉西武ライオンズの涌井投手は今季思うように結果が残せていませんが、手の固さが目立ちますよね。これは涌井投手に限った話ではないのですが、日常生活で手を使う機会というのは最も多いわけですから、とうぜん疲労や凝りなど大きなストレスがかかります。ましてや野球選手の投手といったら計り知れないストレスがかかるんですよ。
そういった状態で何のケアもしないでいつも通りのリズムで投げようとしても、『何かボールのかかりが悪い』という事が起こっても仕方ないんです。技術もセンスもプロ野球球団のエースのレベルですから、こういったちょっとした本質のズレで大きく崩れるんです。とはいっても、ダルビッシュ投手同様、こういった問題を無意識に解決するのが超一流なんですけどね(笑)
バッティングでのフィッティング感
これまで投手について解説しましたが、とうぜんバッティングでも同じです。バットと手の関係を考えたら、何と言っても手を赤ちゃんと握手してるかのような密着感がほしいです。これだけでバッティングは本当に変わりますよ。
小指と薬指を・・・卵を握るように・・・といった表面的な握り方をあれこれ考える前に、手を変化させること!これが最も重要でしょう。それらの具体的な方法を提供するのが私の仕事ですがこれは機会があれば公開しようかと思っています。