ダルビッシュを目指せ! ボールを上手に操る方法
皆さんのチームではコントロールをよくする練習は具体的にどのようなことを何を行っていますか?
私はよく制球の定まらない選手には3つのステップに分けて指導するのですが、今回はその1つめのステップをお教えしたいと思います。自宅でも簡単に出来ますのでぜひチャレンジしてみてください。
ボールの中心を知る
ボールコントロールとは「投げる力」をボールの中心に対して・・・
- どのタイミングで
- どの方向へ
- どれくらい加える
の3つによって決まってきます。ここで重要なのは投げる力を高めることもそうですが、最もコントロールに影響する「ボールの中心」というキーワードです。何といってもガイドラインとなる中心を投げる側が理解していないと、力の制御が上手くいかず制球は定まらないでしょう。
ただ、ここが難しいところで「ボールの中心を理解する」といっても、道具を高度な運動で使う以上ビジュアル的な単に「ここがボールの真ん中だ」程度の認識では意味がありません。ボールの重心、優しくいえばボールの最も重い部分。これを常に身体で感じる必要があるんです。もちろん、ピッチングは無意識の動作がベストですから、ボールの重心はとうぜん無意識で感じることが出来るのが望ましいですが、最初の内はとにかく意識して「ボールはこんなに重いんだ」ということをしっかり覚えこませるのが効果的です。
ボールの握り方はどれも同じ!?
ストレートの握りは4シーム、2シームと色々ありますがこれは基本技術ですから野球経験者に聞いてください。参考までに私が選手の頃に教わったのは、親指の位置を上2本の指の真ん中に持ってくること。そうすることで重心が安定すると教わりました。(技術指導の領域ですのでこれ以上はノータッチ)
さて、この握り方ですがセンスの面からするとどうでしょうか?かなり疑問ですね。これまで多くの選手をみてきましたが、結局どういう握りで握ろうが本質的にダメな選手は効率よくボールに力を伝えられないというのが現実です。
もちろんストレートにはストレートの変化球には変化球の握りがあるように基本的なスキルは守る必要はありますけどね。これはあるプロ野球選手がいっていたんですが、カーブの握り方は何だっていいそうですよ。問題は肘と肩の使い方であって握りは個人差があると。空気抵抗の問題がありますので、より多く曲がる握り、より落ちやすい握りというのもあるかと思いますが、その投手はそいう意味ではなく「小手先のテクニックでは本物のカーブは投げられんよ」というのが言いたかったはずです。
同じように、中心に三角形を作って4シームで基本に忠実に、見た目もしっかり握れてれていても・・・身体でボールの中心(重心)をわかっていなければ、どのタイミングで力を入れるのか?どの方向に対して力を入れるのか?どれくらい力を入れるのか?がわからない以上、良いボールは投げられません。この部分を指摘している指導者の方はほとんどいないのではないでしょうか?でも、ここまでしっかり求めていかないとコントロールは一向によくならないんですよ。
重心を感じる方法は揺するのがベスト
ではどうやってボールの重心を感じるのか?これは揺することで生じる加速度の変化を利用する方法が簡単でわかりやすいですし、最も効果があります。ボールをストレートの握りで握ってください。そこからゆっくりやさしく左右に揺すります。力を抜けば抜くほど重みというのが体感できると思います。慣れてきたら上下に揺すります。同じように斜めに揺する。これを繰り返すだけです。簡単ですよね?でも先に言っておくとたぶん出来る人は少ないです(笑)
何で難しいのかというと・・・そう力み!これが非常に厄介で、意識や感覚のズレを生み出してしまうんです。かといって力を抜きすぎると揺すっているわけですからボールがすっぽ抜けてしまいますよね?このさじ加減が出来ないのは何故でしょうか?答えは、力みによってボールの重心がわかっていない結果、どのタイミングで・どの方向へ・どれだけの力を加えると、ボールがすっぽ抜けずに揺すり続けられるという計算が出来ないから!
そしてさらに力みが・・・。このスパイラルこそがコントロールの悪い選手の基本的なメカニズムです。こういった選手にもっと力を抜けと指導したり、ボールを浅く握らせたりさせますが、根本的に力みを自覚しそれを打ち消すトレーニングを徹底しないとダメなんですよ。だから揺するんです(笑)超リラックスしてもギリギリ落ちない状態までもってく。そうすることではじめてボールコントロールというのが出来てきます。
手だけじゃない!肩甲骨までしっかり揺すれるか!?
でも、これだけじゃダメです。ボールをコントロールするということがこんなに難しいのは、単純に手で道具を掴んで放すという運動では無いからですね。ダイナミックに身体を使って腕を最大限加速させて、ボールへ力を伝えるわけです。ということは、最低でも手、手首、肘、上腕、肩関節、肩甲骨が重心を感じている必要が出てくるんです。これができない。本当に難しいんです。重心がわかってきて手首でならリラックスして上手に揺すれてきても、肘を同じように揺すると今度は手が上手くできない・・・。これを肩甲骨まで違和感なく揺すれるのなら、間違いなくコントロールミスは激減しますよ。道具を扱うとはそういうことです。
ピッチングではその他にも2ステップほどありますが、今回は野手の小学生にも行ってもらいたいのでここまでにします。冒頭でも言いましたが、自宅でも出来ますから、ぜひ行ってみてください。