軸足のバランス感覚を養う!!
小学生に増えている「外側重心」での立ち方
脚を上げた時にエネルギーロスの少ない立ち方を紹介します。
まずは軸足の重要性を再確認しよう
『ピッチャーは足腰が強くないとダメ』
『ピッチングは下半身が命』
野球を経験したことのある人なら一度は耳にしたことのあるフレーズだと思います。
しかし、少年野球では“ボールをまっすぐ投げる”ということがメインになりますから、どうしても下半身よりも上半身の使い方を教えます。実際に硬式経験者のコーチの方も子供たちの混乱を招かないようにあまり難しいテクニックは教えないのではないでしょうか?
かくいう私もこのサイトでは難しいことを言うつもりはありませんし、真新しいことも言うつもりもありません。
ですので、ひょっとすると当たり前すぎてつまらない内容になるかもしれません。しかし、その当たり前が意外と出来ていない・中途半端であるという選手が多いので改めてナイスピッチングのベースとなる部分をお話していきたいと思います。
重力や反力って子供にどう伝えるの?
最近のピッチング理論は科学的で理にかなっているので、いろいろな情報を集めている勤勉なコーチなら「重力」や「反力」といったエネルギーが投球動作に役立つことはご存知かと思います。(ここで重力や反力エネルギーの詳細を語る必要は無いので割愛します)
物理学や運動科学など難しいことはノータッチな人も野球選手が体重増にこだわっているということやスムーズな体重移動は野球に大切であるというのは何となくわかりますよね?
語彙力や知識がある高校生相手なら理解は早いのですが、問題は少年野球のコーチが小学生相手にどうやってエネルギーの重要性を伝えるかです。
身体の重みを理解させるには?
実際の体重は変わっていなくても、身体が妙に軽く感じる時もあれば、逆にえらく重く感じる時ってありますよね?人間ですからその日の体調や気分によってもの凄く変化があるかと思います。
じつはこの体が感じ取っている変化は、こどもに重力を理解させるのに最も最適です。
すごく簡単にいきますね。
私たちの身体って筋肉と骨がありますよね?筋肉は骨にくっついているんですが、そのくっつき具合によって少々厄介なことが起こるんですよ。
活きの良い新鮮な魚は身離れが良い
たとえば魚を思い出してください。いわゆる兄貴や養殖での魚は、どうしても大海原で自由に泳いでいた新鮮の魚とは異なりますよね?味も色艶もそうですが背骨と身のくっつき具合が何となく違う。
これは人間でも同じことがいえる・・・というよりストレス社会で生きている我々はもっとひどいわけです。ひどい人だと筋肉が『え!?骨??』ってほど固くなる人もいます。
しなやかな身体はじつは重い
話しを戻します。くっ付きすぎてしまうと何がいけないのか?重みがわからなくなるんですよ。ここも簡単にいきますね。
週末の家族サービス。車で遠出をしたあなた。時刻は22時。明日は早朝から大事な会議。後部座席には熟睡してしまったお子さん・・・w大体わかりますね。そうめちゃくちゃ重いwあり得ないほど重い。
筋肉がリラックスして柔らかくなればなるほど、骨との身離れが良くなる。そうすると力が一方方向に安定しないので抱きかかえる側はものすごく重く感じるわけです。この重みをピッチングで使うんです。
『リラックス、リラックス』は正しかった
試合中に肩に力が入っている選手は簡単にいえば、熟睡状態に無いわけです。緊張するとロボットみたいに固くなりますよね。くっついちゃうと重みがわからなくなりますから動きが軽やかという意味じゃない、悪い意味で軽くなるんですよ。そういう状態を“地に足着かず”なんて言いますが、まさに言いえて妙。ふわふわしちゃうわけです。
そういう状態でピッチングを行っても『手投げになってるぞ、もっと力抜け!下半身使って!!リラックス、リラックス』ってなるわけです。皆さんも何となくわかっているんですよ。力を抜けば重力や反力をロスなく使えることをね。
安定した軸足の立ち方を子どもへ教えよう
つまり「リラックスしたときに感じる重み」を子どもに教えればいいのですがこれが結構むずかしい。私が考える方法は3つ。
- イメージトレーニング
- 足裏の感覚を覚えさせる
- 上下動で重みを操る
子供に当たり前のことをしっかり覚えさせるためにこの流れは有効でした。ぜひ参考にしてください。以下、1つ1つ解説していきます。(※すべては上記解説通りリラックスが大切です。四六時中リラックスを徹底させるといいでしょう。)
イメージするのは質や形、それを呼吸で創る
イメージトレーニングは古典的な手法ですが、徹底するとかなり効果があるのでお勧めです。ここでいうイメトレは、ただ単に理想の投球フォームをイメージするというわけではなく、自分が感じる感覚を利用して動きを変えていこうという方法です。
やり方はとても簡単。
宇宙で最も重い硬質で巨大な石をイメージさせます。この時に色や形、触った感触なども子どもに問うといいでしょう。ただし、これはあくまで本人の主観であり、他人が干渉することではありません。従って答えは無く各々に任せます。
その巨大で重量感のある石が地下深くまであるようにイメージさせます。
十分にイメージできたら、今度は足裏全体を手でまんべんなく擦って接着剤(もちろんイメージですよ。実際に塗ったら大変なことになりますのでw)を塗ります。相手に擦ってもらうとよりイメージしやすいかもしれません。
まんべんなく塗れたら、巨大な石と足裏をベターッとくっ付けます。
上手な子どもはこれだけでも立ち方が変わってきます。試しに軽く押してみてください。力を入れていないにもかかわらず安定しているかもしれません。
呼吸を使って一本の線で繋ぐ
次は、そのイメージを強化するために呼吸とイメージを一緒に使って地下と足裏と繋げます。巨大な石の中心と足裏を1本の線で繋げます。その線通りに呼吸を上下させる方法です。
石の中心から足裏に吸う、足裏で止める、足裏から地下へ吐く。
これらは慣れてくるまでに時間が掛りますが、子供の感性を存分に利用できるのでイメージトレーニングは効果が高いです。
足裏を意識させ軸足のバランス感覚を養う
2つ目の方法は足裏の感覚を覚えさせること。
私はピッチングフォームよりも、まず足裏の感覚を覚えさせることを優先するのですがこれがまた面白い反応をみせてくれます。
1つ目のイメージトレーニングではしっかり立つということを覚えさせますが、大原則であるリラックスが伴っていないとしっかり立つという意味を誤解する可能性があるんです。
しっかり立つというのは、このあと解説する「重みをコントロールできている状態」のことであり、がっちり踏ん張って安定させることではありません。間違いないようにしてくださいね。
フラフラする重みをコントロールする
壁の前に立ってステップ足を上げて軸足立ちします(あまり上げなくても可)。バランスが悪いので、左手の指先で壁に触れるようにしてバランスを取ります。壁との距離感は調整してください。
そしたら足裏に意識を持って行ってください。片足立ちだとフラフラしてしまいそうですよね?このフラフラをコントロールするのが2つ目の方法です。
足裏の中心を基準に前後・左右にラインを描いて十字線をイメージします。
あとはこのライン通り、自在にコントロールするだけです。
まず、つま先側へ重心をピタッと持ってくる。出来たら中心へ戻す。次は踵へ重心を持ってくる。中心へ。同様に左右⇒中心を繰り返し繰り返し行います。もちろんステップ足を上げているので数回行ったら下げて脚を揺すり緊張をリセットするといいでしょう。
これをしつこいくらい行っていると、日常でも自然と『あっ、いまイヤーな感じの立ち方してたな』という感じになります。つまり、すべての運動のベースである重心の位置に敏感になるわけです。とうぜん運動が得意になるでしょう。
同じジャンプでも変化を生み出す
皆さんは自転車に最近乗りましたか?学生時代は嫌というほど乗ったと思うんですが、思い出してみてください。
ちょっと厄介な段差が前方にある場合どうしてました?お尻が痛いのが確実にわかるので、瞬時に立ちこぎにしたという人もいるでしょう。あるいはサドルに腰かけた状態のままで、上方へ思いっきり意識を向けて身体をできるだけ『フワッ』と軽くするようにしませんでしたか?
とうぜん体重は変わらないわけですが、前輪を上げやすかったり衝撃を和らげたりできた記憶がある方もいらっしゃるかと思います。
3つ目の方法はこれ。同じ上下動でも重みを操ることで変化を生み出す。
難しいので言い換えますと、ジャンプしたときに「フワッ」と「どすーん」を使い分ける。
ピッチング上達はジャンプを極めろ!!
おススメは縄跳びと馬跳び。やり方は上記の通り。空への意識と地下への意識でジャンプに変化を生み出す。ただこれだけ。
1つ目のイメージトレーニングでは地下に巨大な重量感のある石で足裏を繋ぐというのを行いましたね。これで行うとフワッとはいかないでしょう?イメージを外すんです。自在に切り離しができる。これが軸足の安定に繋がる。
縄跳びや馬跳びは室内だとうるさいので屋外で行ってみてください。同じジャンプなのに変化を生み出せるようになれば、自然と何も意識していなくてもピッチングに活きてきますから。
今すぐチェック!!体重が外に乗って無いだろうか?
最後にSTEP1のまとめ。メインテーマでもある外側重心での子供が多すぎることについてです。こういう状態にある選手は厳しい言い方になりますが、ピッチングフォームの練習なんてしている場合じゃないと私は思っています。
脚の外側へ体重が乗っているということは、周りの筋肉を固めてフラフラしないようにしているということを意味します。2つ目の方法で重みのコントロールを行いましたね?これが全く出来ない状態です。つまり、コントロール以前にそもそも重みがわかっていないということです。
次のSTEP2体重移動では、STEP1で得た「重み」を股関節をメインに移動させていくのですが・・・そうです。もうお分かりですね。もちろんSTEP1だろうと6だろうと併用して練習するのは構いませんが、野球経験の無いお父さんコーチがMAX85キロを投げさせるためにはこういう部分を徹底しなければ出来ません。
もちろん、外側重心であっても技術を教え込めばそれなりのボールは投げられますよ。ただ、このサイトのコンセプトは野球が苦手な人が子どもにピッチングを教えることを前提に書いていますのであしからず。
安定した軸足を得るためには・・・
- リラックッスして重みを知ること
- 重みをコントロールすること
この2つが大切になってきます。脚や腰のストレッチを十分行いながら上記2つのポイントを抑えて練習してみてください。
体重が外に乗ることは無くなってくるはずです。