しなりのある腕の使い方を覚える!!
固定支点を排除!!しなる腕の振りを教える
基本的なボールを投げる腕の使い方を紹介します。
腕をしならせキレのあるボールをどんどん投げよう
見た目が綺麗、リリースポイントが見にくい、ボールにスピンがかかりキレや伸びがある・・・こういったピッチャーに共通する動作が腕のしなりです。少年野球でも“しなり”は優れた投手の条件として位置づけられているかと思います。
私が今回お勧めする方法は、ピッチャーというより子供らしくない投げ方をしている選手にもよく教えている方法です。
- 塗れたタオルを利用して重量感を体感する
- ボールにもたれかかる感覚を覚える
- スムーズな支点移動を徹底させる
しなりというのはこれまで一貫して解説してきたように、各関節の固定的な支点が少ない使い方を指しています。上記で「子供らしくない投げ方」と言ったのは、形と柔らかさの比率がちょっとおかしいぞという選手のことです。骨が無いタコのようなぐにゃぐにゃな身体ではピッチングは出来ません。しかし、機械的な動きであり過ぎてもパフォーマンスは向上しません。
少年野球の指導では、どうもこのさじ加減が上手くいかないケースが目立ちますので必ずリラックスを大前提に行うようにしてください。
腕の重みをしっかり覚えこませる
STEP1と2で重みについてお話しましたが、もちろん腕にもこの感覚は必要になります。
タオルでのシャドウピッチングを行っているという人も多いかと思いますが、このタオルを使って重みを教えるのはわかりやすいのでお勧めです。
やり方はカンタン。タオルを水で濡らして軽く絞り適切な重さまで調整してください。次にタオルを下へ垂らし揺すっていきます。イメージは重みを持った蛇です。肩甲骨から揺すって上腕、肘、前腕、手首、タオルと連動させて柔らかく優しく揺すります。
このとき感じる重みと蛇のような動きをするタオルの支点のスムーズな動きを肩甲骨から手までに覚えこませます。力を抜けば抜くほどいいでしょう。たったこれだけでもボールを投げる時のリラックス度が違ってきますのでぜひ行ってみてください。決して力まないのがコツ。
ボールにもたれかかる重みを利用する
2つ目の方法はボールに体重を預けるという感覚を覚えてもらうことです。通常ボールは肩を中心に投げるものであってボールが中心になることは無いのですが、重みをキープしているピッチャーがボールを投げると主観ではこれらが逆転します。
10分50秒あたりから
意識的には肩甲骨はもちろん利き腕側の肋骨全体で、相手にもたれかかるくらいでも構いません。ここでも超リラックスがコツです。
球質の重い球は体の重みとリンクする
『球質の重い球・体重の乗った球は、表示される球速以上に打ちにくい』といわれていますが、この重みはもたれかかるときの感覚を覚えこませれば誰でも可能です。少年野球では変化球は無く基本的にストレートですからぜひマスターしてほしいですね。
キャッチボールは点検作業である
ピッチャーは試合前の肩を温める段階のキャッチボールが非常に大切になります。単純にウォーミングアップに位置づけるのはもったいないので、リラックスしてボールが投げられる練習だからこそ、徹底的に固定的な支点を無くす努力をさせます。
この方法は必ず行ってください。怪我を未然に防ぐという意味もありますが、2つ目のもたれかかることで感じた重みを保ったままボールを投げる練習にもなるからです。ボールを中心に揺すりそこへもたれかかるようにリリースするという動きです。
ピッチングでは腕が高速で動きますのでそんなことはいちいち考えて投げられません。だからこそ、もっともリラックスしてボールを投げることができるキャッチボールで自然と覚えてもらうんです。
キャッチボールでその選手の力量がわかる
最後にSTEP5のまとめです。腕のしなりに関しては「肘肩が痛くない投げ方」の動画があったので簡単にまとめました。
熟睡した子どもの話でもあったように、力を抜いた時にどれだけ筋肉がやわらかくなるかというのがピッチングでは大きなポイントになります。キャッチボールで『ちゃんとやれ!!!』って怒鳴り散らす光景はどのチームでもあるかと思うんですが、私もキャッチボールは最も大切にしなければいけない時間だと思っています。
理由はただ1つ。全力投球ではないので筋肉を柔らかい状態のまま全身をコントロールできるからです。しかし、これがめちゃくちゃ難しい。必要最低限の力で相手にボールを投げることができるレベルは間違いなくプロのそれと同等です。それくらいリラックスして全身をコントロールするのは難しい。
声を出すことで力みに繋がるというリスクを考えれば、ぶっちゃけキャッチボールでは掛け声も必要ないと思ってます。笑うことでリラックスへ繋がるので無言だとつまらないなら笑いながら行ったほうが、じつはよっぽど効果があります。
結局ボールを投げるのは人間ですからね。『バカ野郎、声が出てねーぞ、やる気がないなら野球やめちまえ』って耳元で怒鳴られている状態で、げらげら笑いながら超リラックスできる人間はほとんどいないでしょうから・・・。
しなりの指導ポイントは
- 水が持つ独特な重みを上手に子どもへ覚えさせる
- 固定支点を無くすことが当たり前とさせる
チームの環境によってはいろいろ苦労があるかと思いますので出来る範囲で動画のトレーニングやタオルの重みなどを指導してみてください。